第3章 ナチュラルスキンシップ(爆豪勝己)
「っせぇ!コイツ、いっぺん痛い目遭わせたる!」
「っわ、爆豪!女子に何してんのお前!?」
「ヤバいヤバい引き剥がせ!」
騒ぎに気付いたクラスメイト達が止めに入ろうとするが、キレている勝己の耳には何も入ってこない。
「随分余裕だな、あ?俺なんか掌で転がせるってか!?男が4人も居っとそうなるんか!?ざっけんなよ!テメェなんかただの陰キャ隠れヤンキーだろが!ちょっとモテてるからって、調子乗ってんじゃぁねぇよ!」
ガンガン捲し立てるが、そこまで言ったら、僕他の男に嫉妬してますと言ってるようなもんじゃ……。
胸倉を掴まれたままの繭莉は、最初こそ吃驚した表情をしていたが、勝己の言葉でどんどん険しい表情になっていく。
「……離して」
「あぁ!?」
「離せって、言ってんのっ!」
繭莉の右ストレートが、勝己にクリーンヒットした。
「ぅわっ!」
その衝撃で、思わず勝己は床に尻もちをついてしまった。
「何、言ってンの……?」
「は?」
「私、そんなんじゃ、ない……!」
繭莉が、酷く傷ついた顔をしていた。
「……あ……」
思わず、頬に手を当ててしまった。
殴られた頬が、痛い。
「おい、何騒いでる?」
いつの間にか教室に現れていた相澤が、生徒達をかき分けながら勝己達に近づいてくる。
「相澤先生!私、具合悪いから、保健室!」
繭莉が、近づいてきた相澤をドンと押して教室を飛び出して行ってしまった。
しんと静まり返る、教室。
「どういう事だ」
最初に声を出したのは、相澤だった。
「何があった?騒ぎの原因は、爆豪と甘井なのか?」
「爆豪が、いきなり甘井の胸倉、掴んで……」
「それはっ、アイツが……!」
そう言いかけると、それまでただ騒ぎを見ていただけだった梅雨が勝己の前にちょんと座った。
「爆豪ちゃん、さっきのは良くないわ」
「あぁ?」
「さっき爆豪ちゃんが言ってた男って……それ、繭莉ちゃんの義理のお兄さんじゃないかしら」
「……は……」
あぁ?
義理の……おに……
はぁ?
「あぁ、3年のあいつか。そうだったな、そう言えば」
と、相澤が言った。
何、言ってんだ?