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たまのケージ【ヒロアカ】

第16章 Drastic medicine(緑谷出久 ホークス)



俺は、緑谷くんが羨ましかった。



俺には心なんて一切明け渡さない繭莉が、緑谷くんだけには心を許してる。


なにより、自分から好きだなんて言ってる。


俺の欲しい繭莉の心を、彼は持ってる。



出来るもんなら、緑谷くんになりたい。



なんて、絶対に無理な事を思ってしまう。

「繭莉のさ、心はきみのものなんだよ。緑谷くん」
「え、ちょっと待ってくださいホークス!……今、繭莉って……」

俺の口から繭莉という名前が出たので、緑谷くんは大層ビックリしてたけど、もう構わなかった。

「どういう、事なんですか?繭莉とはどういう関係なんですか……?」
「聞きたいの?」
緑谷くんを見ると、その目には少し迷いの色が見えた。


「……聞かせて、ください……」


ややあってから、彼は決心したのか俺を真っ直ぐに見てそう言った。

「あの子の数学の成績、いきなり良くなったでしょ」
「あ……はい……頑張ってるなって、思って……」
「あれ、俺が教えたからなんだ」
「!そ、そうだったんですか……」
「その流れで、セックスした」


俺の話を聞いていた緑谷くんの目が、大きく見開かれた。


「……え……」



再び、重い沈黙が流れる。



 そりゃ、ビックリするよな。

 プラトニックな関係を築いてた彼女が他の男とはあっさりセックスしてたんだから。


「……大丈夫、緑谷くん」

俺は、まるで自分に言い聞かせるかのように言った。

「繭莉と俺は、セックスだけなんだ」

 そうだ。身体だけ。

「それ以上何も、存在しない」

 だから。

「あの子は俺の事、なんとも思ってないよ」

 繭莉が、緑谷くんを好きなら。

 

 俺はもう、用済みになってもいいんじゃないかな?



繭莉は、緑谷くんと淡い恋でもなんでも育んだらいい。

そんな事を思ってしまう程、俺の心は緑谷くんと話した事ですり減ったのかもしれない。

あの子を緑谷くんに渡してしまえば、もうこんな気持ちになんてならなくて済むかもしれない。

羨ましいとか、彼になりたいとか、いくら思っても無駄だし無理なんだから。

「……ホークス……」
「ん?」
「ホークスは繭莉の事、好きなんですよね?」
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