第15章 本当はね(ホークス)
そして、時間がどれほど経ったかも分からない頃。
「……う、ん……」
ゆるゆると目を覚ました私は、しんと静まり返った部屋に違和感を覚えた。
……あれ……?
「……鷹見……?」
さっきまであんなに身体を近くに感じていた鷹見が、いなかった。
どこ、行っちゃったんだろう……仕事……?
とりあえず下着だけ身に着けて、ベッドから降りる。
そして、ベランダへと続く大きな窓の前で人の気配を感じて立ち止まった。
鷹見……ベランダにいる……?
カーテンをほんの少しだけ開けて外を覗くと、鷹見が空を見上げていた。
その横顔は、初めて彼と会った時のようにやっぱりどこか寂しそうだけれどどこか吹っ切れたような……言葉に表しずらいけれど、そんな感じだった。
鷹見は今、何を考えてるんだろう。
そしてそれを、私に教えてくれる日は来るのかな?
……まさか……ね……
私はアイツの彼女でもなんでもないし。
……
そ、そうだよ!
えっちしてる時鷹見がどうのとか考えちゃったけど、気の迷いだし!?
さ、さっきだってうっかりヤっちゃっただけだし!?
しっ、知らない知らない!
「何1人で百面相してるんです?」
「っ!?」
いつの間にか鷹見の顔が目の前にあって、どれだけ私は1人で考え込んでたんだと自分にツッコんだ。
「べっ、別に……なんも……」
「いいですけど、別に……というかそんな恰好でうろつかんで下さいよ」
ぐっと腰を抱き寄せられて、ドキッと胸が跳ね上がる。
「また、抱きたくなっちゃうんで」
そう言って二ッと笑った鷹見。
こんな事されて、こんな事言われたら女子という女子はオチてしまうだろう。
はっ!!
違う、ちがう!
別に、違うし!
鷹見……なんて別に……?
「病院まで、送っていきましょうか?」
「い、いい!1人で帰れるし!」
腰に回されていた手をべしっと叩き落して床に落ちていた服を着ていると、それを見ていた鷹見が目を細めた。
「……なに……?」
見られているのが恥ずかしくなってそう聞くと、彼は今まで見た事もないような優しい表情を見せた。
「気を付けて帰って下さいね」
「?……うん……」
なんだか引っかかる感じを抱えたまま、着替えを終えた私は病院へ戻った。
その日から、鷹見と会う事はおろか連絡が来る事もなかった。