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The usual one【ヒロアカ中心】

第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)


 その後はもう、ぐっちゃぐちゃのわっちゃわちゃだった。

 警察に連れていかれて、一通り事情を聞かれて、被害届を提出して……。

 しかも、着の身着のままで。

 警察署に似つかわないウェディングドレス姿。

 そりゃもう、目立つ目立つ……。

 行き過ぎる刑事さんや、逮捕された犯罪者も好奇の目で私を見ていた。
 
 「せめて、着替えたい……」
 
 私は、一通り作業を終えたので取調室で待たされていた。

 「か、帰りたい……っは!」

 ふと、気付いた。

 私、お金も家もついでに仕事も無いんだった!
 結婚するからって、全部手放したんだっけ!
 文無し宿無し仕事無し……

 「ど、どうしよう……」

 机に思わず突っ伏すと、ドアをノックする音が聞こえた。

 「あ、はい!」
 「繭莉」

 ドアを開けて入ってきたのは、焦凍だった。
 その手には、私の荷物が。

 「取り敢えず、式場から繭莉の着替えとか、荷物とか持ってきた」
 「あ……ありがとう、ございます……」

 私がそれを受け取ると、焦凍があの日のように、ぎゅっと手を握ってきた。

 「……大丈夫か……?」
 「ああ、えと……大丈夫、です……」
 「何で敬語なんだよ」
 「だ、だって、何か……」

 「繭莉」

 焦凍が、ふっと微笑んだ。

 「俺、ちゃんとヒーローになったよ」
 「……うん……」
 「ヒーローになったらいつか、あの日みてぇにどっかで偶然、会いたかった」

 私は、焦凍の温かい腕に抱きしめられていた。


 「好きなんだ、繭莉。ずっと、忘れらんなかった」


 素直に、涙が出てくる。

 「で、でも……焦凍あのね、私今、お金も住む所も、仕事だって……」
 「じゃあ、丁度いいじゃねぇか」
 「……え……」

 私の涙を指で掬った焦凍が、真剣な表情になる。


 「俺んとこ、来いよ」


 「……うん……!」

 私は、今度こそ素直に頷いた。

 そしたら、ここがどこだったかなんて、もう全部吹っ飛んでいた。

 気付いたら、キスしてた。

 「っは、繭莉……」

 焦凍は、私のドレスの裾をたくし上げるとガーターと太腿の間に手を差し込んだ。

 「ドレスって、結構重てぇな」
 「しょ、焦凍……っあ!」 
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