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The usual one【ヒロアカ中心】

第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)


 一ノ瀬さんにぐいっと手を引かれて、ドレスを思い切り踏んでしまう。

 足がもつれて、私はふんわりと宙に浮いた。

 「わ……!」

 お、落ちる!
 よりによって、こんな大階段から!
 落ちて死んじゃうかも!

 「あ、人が落ちるぞ!」
 「誰か受け止めろ!」

 警察と思われる人たちが口々に叫ぶのが聞こえたけど、こんな高さから、誰が受け止めてくれるんだろうか!

 ヒーローとかじゃなきゃ、無理だよ!

 「繭莉!?」

 誰かが、私の名前を呼んで、階段を駆け上がってくる。
 いや、駆け上がってるんじゃない……足元に、氷!?

 氷……って……


 「わぁあっ!」

 すんでの所で、そのひとに私は受け止められた。

 「いたたっ……ありがと、ございま……」
 「やっぱ、繭莉だ」
 「……え……」

 その声……

 「しょう……と……?」

 私が混乱していると、下から声が聞こえた。

 「一ノ瀬確保!ショート、被害者頼む!」

 え……

 え?

 被害者?

 「ど、どういう……事ですか……?」

 混乱して、頭が整理できない。

 焦凍、一ノ瀬、被害者……え?え?

 「繭莉、最近テレビ、観てねぇのか?」
 「へぇっ?」

 「あの一ノ瀬……最近噂の結婚詐欺敵だぞ」

 え……え……?

 敵……ヴィ、ヴィラ……

 ヴィランだってええええぇぇぇぇええ!!?

 「後でキャッシュで払うから、先に結婚式の費用振り込めって、倍の金額振り込ませる手口が多いらしい。もしかして、もう払っちまったのか?」

 払っちゃったよおおぉぉぉおお!

 何か、費用高いと思ってたあぁあぁ!

 詐欺に遭ってたとか……!

 気付かなかったよおおおおぉぉぉお!

 どうしよう、すっごい、涙目……

 「取り敢えず、これから警察行って、事情聴取とかされるかも知んねぇけど」
 「……は、はい……」

 焦凍は、私をその場に降ろすと、階段を見上げて言った。

 「それにしても、でっけぇ階段だな」
 「そ、そうね……」


 「こんな所から落ちてくるとか、繭莉、お姫様かよ!」


 そう、冗談を言って笑った焦凍。

 その笑顔は、あの頃の私が大好きな焦凍そのものだった。
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