第15章 本当はね(ホークス)
なんか……あの人どっかで見た事あるような……?
「どうしたんですか?」
中の人にいきなり話しかけられて私は焦った。
しまった、私怪しい奴になっちゃう!
……えーっと……!
「あ、すみません!覗き見なんかしちゃって……っていうか……どこかでお会いしました……?」
すると、中の人は視線を左斜め上に泳がせた。
「そうっスねぇ……どうでしょう?」
あ……
その感じ……あの顔……なんか思い出してきたぞ……?
あ!あれだ!
「……ホークス……」
そうだそうだ!
ホークスもそんな顔でそんな喋り方してた!
「お兄さん、ホークスに似てるって言われた事ないですか?」
ホークスに似ているという結論に達した私は、中の人についそう聞いていた。
「あー……たまに言われます……懐かしいっすね、ホークス」
確かに懐かしい。
ホークスといえば、かつてヒーロービルボードチャートNO.2まで昇りつめたトップヒーロー。
ヴィランとヒーローの全面戦争の後、彼は公安委員会の会長になったというのは平民の私でも知っている。
「そうですねぇ、なっつかしいわ~!」
「で?どうしたんですか?」
するっと話を元に戻されて、私はまた怪しい奴認定の崖っぷちに立たされた。
「あ……いや……どうというかっ……」
私がしどろもどろになればばる程、お兄さんはどんどん訝し気な表情になっていく。
ヤバいヤバい!
個室いいな~とか軽い気持ちで覗いた私がバカだった!
「甘井さん?」
後ろから声をかけられて、私は後ろを振り向いた。
そこには若めの男性看護師さんが立っていた。
「……あ……」
「確か甘井さん、305号室でしたよね?何かありました?」
「いやっ、なにも!すいません、失礼しましたぁ!」
図らずとも看護師さんに助けられる形になってしまったけど、私はそそくさとその場を後にした。
「ただいまぁ……」
自分の病室に戻ると、みんなが口々に「おかえり~」と言ってくれた。
「ねぇ甘井さん」
お隣の高橋さんが、ベッドから身を乗り出した。
「胃潰瘍になるほど嫌な事、あったの?」
そう聞かれて、これは新入りへの洗礼なのだろうと思った私は自分の身の上話をする事にした。
「嫌な事っていうか……私、厄年で……最近嫌な事ばっか起きるんですよ」
「厄年……へぇ……?」