第15章 本当はね(ホークス)
「えー……結果からお伝えいたしますと、胃潰瘍ですねぇ」
い……
胃潰瘍……?
「まずは1、2週間入院していただいて……先に手続きの方、しましょうかね。じゃあ佐藤さん、あとよろしくね」
にゅ……
入院……!?
甘井繭莉、33歳。
最近、お腹がとても痛むので胃腸炎か何かかと思って検査を受けたらまさかの胃潰瘍だった。
しかも、入院治療レベルの。
何故、今の今まで気付かなかったのだろうか。
まさか、こんな事になるなんて夢にも思っていなかったのでショックな事この上ない。
入院手続きを済ませて、一旦家に帰り荷物をまとめてまた病院へと向かう。
「……はぁ……マジでか……」
私は、病院へと歩みを進めながら絶望していた。
33歳で、厄年だし?
なんかさ、去年から思ってたよ?色々運が悪いんじゃないかって。
そうね……ついこの間フラれちゃって彼氏もいないし?
ついでに仕事も……あ、なんか悲しくなってきたから止めよ。
入院って、初めての私にとってはなんだかネガティブなイメージしかないからちょっと怖い。
お医者さんには治療の方法とか、一応説明は受けたけど何をされるんだろうか。
そもそも私は自分の家以外の場所でぐっすり眠れるんだろうか。
「……はぁ……」
色々考えると不安な事しかなくて、大きな溜息が出てしまった。
そうこうしている内に、病院に着いてしまったので私は諦めの境地に至った。
1、2週間の辛抱だ。
頑張れ私、なんとかなる……!
そう自分に喝を入れて、私は病院の中へ足を踏み入れた。
まさか、この入院生活が私の運命を変えるなんて思ってもいなかった。
「申し訳ありません、今、消化器内科の病棟が混雑していて……」
看護師さんが謝りながら病室のドアをガラリと開けた。
はぁ……
今日からここで、色んな人と寝食を共にすんのね……
そう思いながら部屋の中に入る。
「今日で絶食4日目かぁ……」
「大丈夫高橋さん!私なんかもう1週間食べてないから……」
「あ、海野さん今夜から重湯だっけ?」
「わぁぁぁ!おめでとー海野さん!よかったねぇぇ!」
そこには、妙な結束感で結ばれた人達がいた。
病室という密室で、同じ病気で同じ治療を受けているという状況が仲間意識を生み出すのだろうか。