第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)
そして愛撫も無しに、一気に焦凍に貫かれた。
「っ!~~~~っ!」
遠慮なく律動を開始されて、思わず声が出そうになった。
酷く犯されてるのに、感じてしまっていた。
だって、相手が焦凍だから。
「っ、ぅ……っ……」
「ンだよ……っ……」
でも、声なんか出せなかった。
「何で、だよ……」
嫌だとか、やめてとか演技したって声を出せばバレると思ったから。
「何で、っ、犯されてるくせに濡れてんだよ!」
焦凍が死ぬ程、好きだって。
焦凍の言う通り、すぐにぐちゅぐちゅと水音がし始めて、感じてるのなんてもう、バレバレだった。
私、相当ヤバい女だ。
「つっまんねぇ……女……っ……!」
吐き捨てるように焦凍が言った次の瞬間、私の最奥で彼の欲がまた吐き出された。
「は……ぁ……」
「……」
ずるりと私のナカから焦凍のが抜けると、ひどい喪失感に襲われた。
もう、二度と焦凍とこうなる事はないと、思ったから。
「……アンタの人生、滅茶苦茶にしてやりてぇよ」
それだけ言って、焦凍は身なりを整えると私の部屋から出て行った。
これでいいんだ。
これで焦凍は元通り、またキラキラ輝ける。
とても泣きたかったけれど、私に泣く権利なんかないと分かっていた。
だから、只管涙が出そうなのを我慢した。
それっきり、焦凍と会う事はなかった。
それから、しばらく時が過ぎた。
焦凍がヒーローになった事は、テレビのインタビューかなんかで知った。
焦凍が笑うと、女のコのファンが卒倒するんだって。
どんな笑顔、するんだろう。
でも、私にはもう関係ない。
私は、焦凍を忘れる為に馬車馬のように働いた。
飲んで飲んで、触られて触られて……焦凍が隣に居ない世界が、ひどく色褪せていた。
けれど、そんな私に手を差し伸べる男が現れた。
それは、最近お店に来るようになった会社を経営しているとかいう、一ノ瀬さん。
『葉月さん、僕はもうあなたの事を源氏名でなんか呼びたくないんだ』
『本当の名前で呼びたい』
そう言われて、結婚を前提に付き合う事になると、とんとん拍子に話が進み、結婚式を挙げる事になった。
もう、焦凍と別れてから7年も時が過ぎていた。