第2章 ゆめのプロポーズ(轟焦凍)
焦凍の絞り出すような声が聞こえたけれど、私は彼に背を向けた。
「じゃあ、私、行くから」
玄関に向かって歩き出そうと思ったけど、出来なかった。
焦凍に、腕を掴まれていたから。
「は、離して……」
「じゃあ……責任、取れよ」
「え?責任って」
「俺をこんな風にした責任だよ!」
今度は、私の言葉を焦凍の大きな声が遮った。
焦凍が声を荒げるなんて、初めてだった。
「あの日アンタが俺の前に現れなきゃ、こんな事にはならなかったんだ!こんな気持ちにならねぇで済んだ!全部、アンタの所為だ!」
返す言葉が、見つからなかった。
「……何、黙ってんだよ……」
ごめんとしか、言いようがなかったから。
「さっきみたいに、何とか言えよ!」
私が黙った所為で、部屋はしんと静まり返った。
「……もう、いい」
焦凍がそう言った次の瞬間、私はソファに乱暴に沈められていた。
「……っ!」
突然の事で、声が出なかった。
「一生、黙ってろよ」
私の上に覆いかぶさった焦凍は、見た事もない氷みたいに冷たい表情だった。
怖くて、ぞくりと肌が粟立った。
思わず焦凍をありったけの力で突き飛ばそうと試みたけれど、彼だって仮免持ちのヒーロー志望。
押したって、ビクともしなかった。
もう、私を壊れ物みたいに扱う焦凍はそこには居なかった。
カチャンとベルトを外す音が聞こえた瞬間、焦凍に頭を掴まれた。
「舐めろよ。黙ってたって、出来んだろ」
私は、従うしかなかった。
これは、焦凍を汚した罰なんだと思った。
「……んっ、ぅっ……」
私の口の中で、どんどんとそれが膨らんでいく。
まだ、私で感じてくれてる?
いや、そんな訳、ないか……
私の頭を掴んでいた焦凍の手に更に力が入った。
「っは……アンタ、色んな男に触られてる割に、っ、下手クソなんだよ……」
アンタ。
もう、繭莉って、優しい声で呼んでくれないのね。
「く、っ……零すんじゃ、ねぇぞ……っ!」
頭をぐい、と押し付けられて苦しくなった喉の奥に、欲を思い切り吐き出されてもう、焦凍の欲を飲み込むしかなかった。
「っう……けほ……っ……」
「これで終わりじゃねぇからな」
そう言われて、乱暴にショーツを剥ぎ取られた。