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たまのケージ【ヒロアカ】

第14章 可哀想な2人(相澤消太)


「……どういう事だ」
事務的な口調を崩す事のないまま尋ねる。

『私ともう一度、やり直して欲しいの……』

 ……嘘だろ……

 俺に、どうしろっていうんだ……?

女というのはどうしてこう、結構自分勝手なのだろうか。
気分で別れたいと言ったり、よりを戻したいと言ったり……。

ちょっとついていけないと思いつつ繭莉をちらりと見ると、小首を傾げてこちらを覗き込んでいる。
こちらの電話でのやり取りなど彼女には分からないのだから当然だろう。
消太は、そんな繭莉をもう一度抱き寄せた。

 ……だからもう、そんな顔で見んな。

 分かった、認める……コイツは可愛い。

 可愛いから好きなのか、好きだから可愛いのか……

 は?

 好き?

 そこまではさすがに思って……

 ……いや……


「ごめんな、それは無理だ」


消太は、スマホの向こうの相手に自分の意思を簡潔に伝えると、通話を切った。

「相澤さん、何が無理なの?」
事情を何も知らない繭莉が尋ねてくる。
「俺の事、振ったくせにより戻したいとか言われた」
抱き寄せていた腕にぎゅっと力を入れると、小さな身体は簡単に消太の腕の中に収まった。

「…………」

繭莉が黙り込んだ事で、部屋には少しの間沈黙が流れた。

返事に困る事を言ってしまったかと思っていると、繭莉の両手が消太の顔をがっちりとホールドした。
「っ!?」
そのまま、唇を塞がれる。

「……っ……」

口内に甘い唾液と一緒に舌が入り込んでくる。
それに応えるように舌を絡めると軽く吸われて、腰にぞくぞくと快感が走る。

「……は……」

唇が離れて、それと同時に両手も顔から離れていく。

「…………」

消太を見る繭莉は、ムッと頬を膨らませてまるで拗ねているような……そんな表情をしていた。

 おい、なんだよその顔。

 もしかして、あれか?

 俺が、より戻したいとか言われたから……

 ……嫉妬……?

 いや、さすがに違うだろ……

 おかしいだろ、それは……別にそんな関係でもなんでも……

「無理って言っときながら満更でもないくせに」
好きかどうかは定かではないが、少なくとも可愛いと思っている相手にそんな表情をされて、こんな事まで言われて悪い気もしない。
「お前は俺の彼女でも何でもないだろ」
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