第14章 可哀想な2人(相澤消太)
感じすぎてぐちゃぐちゃになった顔まで好みときたもんだ。
ヤバい、なんでかは分からないが、ヤバい。
つい昨日フラれた人間の思考回路とは思えない程、頭の中が目の前の好みの顔で埋め尽くされていく。
「っ……く、ヤバ、あんま、締めんな……っ」
「っ!あ、ちが、わざとじゃ……あ、あんっ、無理、苦し……!」
わざとじゃなければ、このエグイ程の締め付けは何なのか。
そう思わせる程ぎゅうぎゅうと締め付けてくるナカに、眩暈がしそうになる。
もう、限界だ。
「は……っ、出す、ぞ……!」
「んぁっ、わた、しも……イっちゃ、お、にいさ、あ、やあぁぁあんっ!」
搾り取られるんじゃないかと思う程強い締め付けに、中に出す気は無かったのに思わず繭莉の中に全部欲を吐き出していた。
「はぁ……はっ……」
好みの顔が、気持ち良さに溺れた表情で身体を絶頂の余韻でビクつかせている。
視覚的に、これはこれでまた興奮の火種になってしまいそうだ。
消太の頭の中にはもう、学校がどうとか目の前の女が初対面だとかそんな事は微塵もなかった。
今なら、もう一回……
そんな気持ちになりかけたその時だった。
ピピピ……と、無機質な電子音が部屋に響いた。
その音に、ビックリした繭莉が急に起き上がって手を拭くのもそこそこにテーブルの上にあったスマホを手に取った。
「はい!甘井です!……ええ、え?私で、いいんですか……?あの……はい、ありがとうございます!ええ、はい、失礼いたします」
通話を切ると、妙にキラキラした目で消太を見てくるのでまぁいい事でもあったんだろうという大体の想像は出来た。
「……おにいさん……!」
「……なんだよ」
首を突っ込む気もあるようでないがついそう聞いてしまっていた。
すると、急に手をガシっと掴まれる。
「受かりました、オーディション!ドラマの!や、やったぁぁぁっ!すごい、すごい!おにーさぁんっ!」
手をブンブンと上下に振られて、何もしてないけどという気持ちでいっぱいになるがついには繭莉が「ありがたや……」と目の前の消太を拝みだす始末だ。
なんだコイツ……俺は、神社の御神木か何かなのか……?
少しばかり気が遠くなりそうになった。