第13章 推しと好き(爆豪勝己)
あ、あれ?
なんで私、泣いてるんだろう。
「……だってさぁ……」
私、爆豪くん相手に何言おうとしてる?
「ざっぴー全然私の話、真面目に聞いてくんないし、っ、あんなオンナ、絶対ヤバいって言ったのに……っ……」
ヤバい、止まんない。
涙も愚痴も、止まんない。
「推しが不幸になるとこなんか、見たくないのにさぁ……分かって、くれないんだもん……!」
そこまで言って、涙を止めたくて目をギュッと瞑った。
「チッ、ちょっと来いや」
軽く舌打ちをした爆豪くんに、突然腕を掴まれる。
「っ!?」
そのまま、どこかにずんずんと歩いて行くので、腕を掴まれていた私は引っ張られるまま彼について行くしかなかった。
「……ここ……」
辿り着いたのは、クラスのほとんどの人が中を見た事がないらしいという、爆豪くんの部屋の前だった。
爆豪くんはその部屋のドアを開けると、私を中に放り込んで乱暴にドアをバンと閉めた。
「え、え!?……え……」
突然すぎる謎な展開にただただ戸惑ってしまう。
「甘井」
そんな私の身体を、爆豪くんはぎゅっと抱きしめた。
「……えぇ……?」
分からない。
何が起きたのか、分かるけどよく分からない。
なんで私、爆豪くんに抱きしめられてる?
なん……え……?
爆豪くんの抱きしめ方は、いつもの彼からは想像出来ない位優しかった。
なんだか、慰められてるような……そんな感じだった。
吃驚しすぎて、涙は止まっていた。
「……お前、馬鹿じゃねぇのか」
「!ばっ……っ……」
続きを言おうとした唇を、爆豪くんの唇に塞がれた。
そしてすぐに彼の舌が口内に入ってきて、私の舌を掬い取った。
「んぅっ!……ぅん……」
どうすればいいのか分からなくてぼんやりしていると、唇は離れていった。
「は……もっと、応えろや。……俺の舌、吸えよ」
それだけ言うと、またキスをされた。
え……吸う?……え……っと……
恐る恐る舌を伸ばして、爆豪くんの舌に絡める。
そして、言われた通りにそれをじゅっと吸うと、彼の身体がぴくっと反応した。
そんな事を繰り返す度に、お互いの唾液が口内を行き来して何だか逆上せたみたいに頭がぼぅっとしてくる。