第13章 推しと好き(爆豪勝己)
「おはよ、ざっぴー!今日もダルそう、好き♡」
私の、毎朝の日課。
それは、登校したら誰よりも早く推しに話しかける事。
「……お前なぁ、そのあだ名、止めてくれっつってんだろ」
私の声に振り向いた推し。
その人は、相澤消太。またの名をイレイザー・ヘッド。
イレイザーのザを取って、ざっぴー。
少し……いや、結構ダサめなのは分かってる。
だけど、私しかそう呼んでないからちょっと特別感っていうか、何ていうか。
「えー?じゃあ、しょっぴーの方がいい?」
「それは、どっかのアイドルのパクリみたいだから止めてくれ」
「やっぱそう思う?私もそう思ってね、ざっぴーにしたの」
「しょっぴーのパクリくさいけどな」
「いいの!じゃっ、また後でね!」
ざっぴーに手を振って、教室へ向かう。
大体、推しはテレビの中か紙の中だ。
それに比べたら、週6で推しに会える私は何てラッキーなんだろう。
「繭莉ちゃん、おはよー!」
元気な透ちゃんに、後ろから挨拶された。
「おはよ、透ちゃん!」
「今日の相澤先生、どうだった?」
「ん?今日も安定のくたびれ感だったよ!好き♡」
「……それ、褒めてるんだか貶してるんだか分かんないよ……」
貶してる?
いやいや、そんな事はないよ。
「褒めてるよ!いやもう、最上級に愛してんの!推しとして!」
「じゃあ、相澤先生に彼女とかいたらどうするの?」
「え?別に、それは……」
ざっぴーと恋愛的にどうこうなりたいという願望は私には全く無い。
寧ろ、もう歳なんだから早く良い女でも捕まえて結婚してくれとすら思う。
推しの幸せは、私の幸せ。
それで、十分。
「さっきも言ったけど、推しは推しだからさ。彼女いたら、よかったねぇって思うよ?普通に」
「そうなんだぁ、そんなもんなの?」
私達がそんな会話をキャッキャとしていると、後ろにピリッとしたオーラが近づいてくる気配がした。
「お前ら朝からぎゃあぎゃあうっせんだよ!そこどけ!」
は……
廊下、めっちゃ左右、空いてますけど……?
「おはよ、爆豪くん……相変わらず暴君だね」
私達の後ろで朝からピりつく爆豪くんに、一応挨拶する。
何でか分かんないけど、いっつも彼につっかかられてる気がする……私。