第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
お願いだから、この嘘を鵜吞みにして去って欲しい……!
「そうだったん?えっと、勘違いしちゃってすみませんでした」
「い、いえ、こちらこそ紛らわしくて……」
そう言った時だった。
1枚の紙切れが、ひらりと地面に落ちた。
「あ、お姉さん、何か落ち……わっ!」
ウラビティがそれを拾おうとした時、強めの風がざぁっと吹いた。
紙切れは、舞い上がって通りの真ん中にひらっと落ちた。
「ちょ、飛んでいかんで~!」
ウラビティは親切にその紙切れを追いかけてくれたけど、私は気まずさでいっぱいだった。
気まずい事は更に続き、事もあろうか相澤さんが紙切れの存在に気付いてそれを拾い上げたのだ。
し、しまったあぁぁ!
「あ、相澤先生!それ、あのお姉さんの……ん?……これって……」
相澤さんの手の中の紙をちらっと見たウラビティが呟いた。
「……エコー写真……?」
そう。
それは、産婦人科で貰った、赤ちゃんのエコー写真だった。
ウラビティが私に視線を向けたのにつられて、相澤さんもこちらを見てきた。
「……繭莉?」
「え!相澤先生、お姉さんと知り合いなん?」
「知り合いというか……まぁ」
私は、心の中で頭を抱えた。
どうしよう!バレちゃった!何もかも!
ああっ、気まずいよ……逃げたいよぉぉ!
相澤さんがこちらに歩いて来たので、私は思わずフロッピーの手をはしっと掴んでしまった。
「……どういう事だ、これ」
エコー写真を見せられて、もう言い訳出来なかった。
「ごめんなさい!4か月なんですごめんなさい!」
「そんな謝らなくてもいいだろ」
私達のやり取りを、ウラビティとフロッピーはこいつら付き合ってるんかという様子で見ていた。
「相澤先生……順序が逆じゃないかしら」
フロッピーがそう言ったので、相澤さんはばつが悪そうにエコー写真をポケットにしまった。
「……なんだ、まぁ……」
「……は、はい……?」
「取り敢えずあれだ。……産んでくれ……色々、今度ちゃんと言うから」
「え」
その、色々を想像して私はついにやけてしまった。
けれど、その今度が誰もが驚く程先になる事を、今の私はまだ全然知らなかった。
これからも、私達は愛し愛されて生きていくんだ。
未来は、明るかった。