第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
それから、幾らかの歳月が過ぎた。
「繭莉ー!久しぶり~!」
今日は、二十歳の集いの日だった。
最初は、行こうかどうしようか迷っていた。
けれど、お兄ちゃんがこっそりと振袖を用意してくれていたのだ。
『繭莉、一生に一度しかないんだから、行っておいで』
と、渡されたのは真っ白な生地に淡い色合いの花柄があしらわれた振袖。
普通に可愛いなぁと思ったし、安いものでもない。
お兄ちゃんが自分の稼ぎから捻出してくれた事を思うと、その行事に参加する事が恩返しなんだと何となく感じて、参加する事に決めた。
「えー、爪可愛いね!」
中学の時の友達が、ネイルを褒めてくれた。
「これ、自分でやったの」
私は、高校を卒業した後美容の専門学校に2年通って、ネイリストの技能検定試験も受けた。
最近、東京の小さなサロンに就職したばかりだった。
ここで生活していた当時の友達と会えたのは嬉しかったし、普通に楽しく時間が流れた。
そして、式典も終わって会場を出た時だった。
手に持っていたスマホが鳴った。
「あ、紗綾?」
『うん!式、終わった?』
「今、帰る所……ていうか、ホントにいいの?泊めてもらっちゃって……」
『いいに決まってるでしょ!旦那も繭莉にまた会いたいって言ってたし』
紗綾は、いつもお店に商品を届けてくれている配達員さんと結婚して、今年念願のマイホームを建てたんだって。
そんな所に、お邪魔しちゃっていいのかな……?
『あ、繭莉!お店寄ってね!振袖姿、見たいから』
「うん、分かった」
通話を切って、お店への道を歩き出した。
歩いている途中、新成人と思しき人達と沢山すれ違った。
みんな、未来への希望で瞳がキラキラしていた。
何だか、私もその仲間入りを出来た事が嬉しかった。
「わ!繭莉可愛い!白なんだぁ!」
お店に着くなり、紗綾がまるでお母さんみたいにスマホで私の振袖姿を連写した。
「この状況、お客さんに見られたら恥ずかしいんだけど……」
「いいじゃん!今お客さん居ないし。ホンっと可愛いなぁ!」
「あ、ありがと……」
紗綾は、カメラのピントを私に当てたまま「あーあ」と言った。
「どうしたの?」
「相澤さん、来ないかなって思ってね」