第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「よ、よかったぁ……気付いてくれて……」
安堵した私は、しっかり自分の手の居所を確認してしまう。
まだTシャツを掴んでいた。
「わ、わぁ!ごめんなさ……」
慌てて、ぱっとTシャツから手を離したその時だった。
相澤さんに、抱きしめられていた。
「……え……」
それ以上言葉も出なければ身体もピクリとも動かない。
相澤さんの身体は、雨に濡れて冷たいはずだと思っていたのに、熱かった。
相澤さんの身体にくっついた耳から聞こえる、彼の心臓の音と同じ位自分の心臓の音がうるさくなって戸惑ってしまう。
「あ、あの……」
どうしようと思って見上げると、頬にそっと手が触れた。
そのまま、相澤さんの顔が近づいてくる。
「んっ」
キス、されていた。
そんな事をするのは初めてで、どうしていいか分からない。
そもそも、何故私にキスをしているのかも分からない。
一瞬の気の迷い?
……それとも……
「ん……んぅっ!」
唇を割って、彼の舌が口の中に入って来た。
私の舌を絡めとって、じゅっと吸われると身体がビクっと反応してしまった。
恥ずかしい?
きもちいい?
もう、分からない……
されるがままに、彼のキスを受け入れていると熱い手が私の服の中にするっと入って来た。
えっ……!
うそ、待って、まだそこまで心の準備が……!
そう思うけど、このまま止めて欲しくなくて抵抗なんてしなかった。
やがて、ブラジャーのホック部分に指が触れた。
「……んっ……!」
その指に、ぐっと力が入ったその時だった。
ピー、ピー
と、乾燥機の終了ブザーが部屋に響いた。
「っ!」
その音に吃驚したのか我に返ったのか分からないけれど、相澤さんは私からバッっと身体を離した。
「……すみません」
そう言って、私の唇を親指で拭った。
途中で終わって、どこかホッとしている私がいた。
あのまま、彼の気持ちも分からないのに最後までされていたら、これからどう接すればいいのか分からなかったから。
「いえ……初めてが相澤さんで、よかったです」
つい出てしまっていたいらない情報に、相澤さんは驚いた様子だった。
「そう、ですか」
いつの間にか、雨はすっかり止んでいた。