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たまのケージ【ヒロアカ】

第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)


 部屋には、カチャカチャと食事する時の音が控えめに響いた。

 でも、私は何を口に入れても緊張で味なんて感じなかった。

 隣で、相澤さんが食事をしている。

 何だろう……夢、みたい……

 すっかり夢見心地になっていると、相澤さんがお箸をお皿の上に置いた。
 「美味かったです。……ごちそうさまでした」
 「あっ、いえ……とんでもないです……」

 その会話を最後に、私達の間に沈黙が流れた。

 ど、どうしよう!
 会話、終わっちゃった!

 ……う、うーん……

 沈黙に耐えられなくなった私は、無理くり話題を作る事にした。

 「あの、いつもうちの店でお買い物してくださってありがとうございます」
 「いえ」
 「……お好きなんですか?あれ……」
 私がそう聞くと、そんな事考えた事もないらしく、相澤さんは顎に手を当てて考え始めた。
 「いや、まぁ……」
 「あ、ごめんなさい!気にしないで下さい!あの、相澤さ……」
 そう言いかけて、はっと我に返る。

 あっ!

 うっかり名前呼んじゃった!
 一方的に知ってるとか、気持ち悪い気持ち悪い!

 「ご、ごめんなさいあの!友達が……」
 
 言い訳を始めようとしたその時、相澤さんがふっと口元を緩めた。
 「さっきから、ずっと謝ってる」
 「……っ……」

 た、確かに……

 というか……

 相澤さんの微笑みを見てしまった……

 眼福!

 心の中で、ありがたやと手を合わせた。

 その時だった。


 ドン!ドンドン!


 と、玄関のドアを叩く音がして、私はビクっと固まった。

 な、何!?

 『成田ぁ、酒買ってきた!開けて!』

 と、めっちゃデカい声が外から聞こえた。

 ちょっ、成田さんはお隣!

 ドンドン!

 『成田!開けろって!』

 早く気付いて、間違ってるって!

 何だか怖くなって、身体が僅かに震えてしまう。

 「ちょっと、見てきます」
 と言って、相澤さんが立ち上がった。
 
 私を不安にさせない為にそうしてくれたのに、今の私には、怖くてそれを考える余裕がなかった。

 「い、行かないで……!」

 気付けば、私も立ち上がって相澤さんのTシャツの裾をギュッと掴んでいた。

 『おい、俺んちこっち!そこじゃない!』
 『あれ?悪ぃ!』

 ガチャガチャと、お隣に人が入っていく音がした。
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