第12章 ゆめのプロポーズ2(相澤消太)
「あ……丁度、ご飯作ってて……」
「腹減りますね、この匂い」
「……え……」
ほ、ホント?
あんな、栄養ドリンクなんだかゼリー飲料なんだかみたいなのばっかり口に入れてそうな人が、私なんかの料理の匂いで……お腹、空く……?
と、いう事は……
普通のご飯も食べるのかな……いや、それは当たり前なんだけど……
「よかったら、食べていかれます……?」
何故か、調子こいてそんな事を言ってしまった。
「結構作っちゃったから、余るだろうし……兄も今日、帰り遅いみたいで」
な、何食べさす方に誘導してんだ!
厚かましい、厚かましいよ!
匂いいいって言われただけじゃん!調子乗んなよ!
心の中で自分を罵倒していると、相澤さんは少し考える素振りを見せた。
「……じゃあ、少しだけ」
「!」
図らずも、私の『ご飯を作ってあげたい』という願望はちょっと違う形だけど叶ってしまった。
「あの、お口に合うかどうかは分かりませんが……すみません、勧めといてこんな言い方も……」
おかず達の乗ったお皿を並べながら言うと、相澤さんはお皿を一つひょいっと取った。
「普通に、美味そうですけど」
……見た目、だけだったらどうしよう……
「うん……普通に、食えますよ。美味い」
おかずをひと口食べた相澤さんがそう言ったので、私は心底ほっとした。
よ、よかったぁ!
なんか、私もお腹空いてきちゃった。
食べよ。
そう思って、ソファと反対の床に座った。
「ソファに座ったらいいじゃないですか」
そんな事を突然言われて、私の胸はドキっと高鳴った。
いや、いやいや!
隣なんて、無理むり!
ただでさえ緊張してるのに、余計に……!
そう思ったんだけど、断るのも何だかおかしい気がして結局隣に座らせていただく事にした。
「すみません……お邪魔、します……」
すると、相澤さんがプッと吹き出したので何事かと思ってしまう。
「あの……えっと……?」
「甘井さん、いちいち謝り過ぎです」
「すみま……あっ……」
また謝りかけている自分に気付いて、続きを何と言えばいいのか分からなくなる。
あー、もぉ……
「さっ、冷めないうちに……どうぞ」
しどろもどろになりながら、それだけ言うのが精一杯だった。