第11章 スターと恋(轟焦凍)
30分後。
「はい、着いたよ」
車で送って来られたのは、やっぱり繭莉の家だった。
「キミ、家まで送っていこうか?」
そう聞かれて、焦凍は首を横に振った。
「いや……いい、です」
「あの……緑川さん……」
緑川と呼ばれたマネージャーは、「ん?」と後部座席に座っていた繭莉を見た。
「その……ごめん、なさい……我儘言っちゃって……」
「んー……いいよ、しゃーないでしょ。もう、降りた降りた!」
そう言われて、2人は車から降りた。
「繭莉」
緑川が車の窓を半分開けて、繭莉を呼び止めた。
「は、はい」
「……あんまり羽目、外さないでよ?」
羽目を外す……とは……
「分かってます、それは……」
それが意味するものを分かっていたのか、彼女はそう言って頭を下げた。
「明日も仕事だからね。10時には迎えに来るから……じゃ」
それだけ言って、緑川は車を発進させた。
その車を見送っていた繭莉の横顔があんまり綺麗だから、つい焦凍は見惚れてしまった。
視線に気づいたのか、彼女はこちらに視線を移す。
「焦凍くん?」
「あ、いや……悪ぃ」
「なんでまた、謝るの?」
「……いや……」
見惚れていた事が少し恥ずかしくなって、うまく言葉が出てこない。
「……あの……」
繭莉が、どこか申し訳なさそうに口を開いた。
「ん?どうした?」
そう聞くと、彼女は顔を真っ赤にして俯いた。
「誕生日だし、我儘言ってもいい?」
「うん」
「……今日、一緒に居て欲しい……」
今日どころか、もうずっと一緒に居たいとか思ってしまう。
「……うん」
焦凍がそう言うと、繭莉が俯いたまま嬉しそうに微笑んだ。
「ありがと……」
「繭莉」
「ん?」
顔を上げた繭莉の顔を、両手でそっと包む。
「誕生日、おめでとう」
そう言って、額にキスをした。