第11章 スターと恋(轟焦凍)
「ただのイメチェンじゃないかもよ」
上鳴の隣に居た耳郎が言った。
「耳郎、どーいう事?」
「うん……繭莉って、前倫音と付き合ってるって噂になった事があんだよね」
倫音。
最近現れた、新進気鋭のイケメン俳優。
テレビとかで、彼を見ない日は無かったので焦凍もうっすらと彼の存在は知っていた。
「最近、倫音と繭莉、別れたとかって聞いたけど……それでかな?」
倫音……別れた……?
焦凍は、あの日繭莉が伏せた写真立ての存在を思い出した。
「上鳴、倫音ってどんな顔してた?」
そう聞くと、上鳴は「ちょっと待てよ、倫音、倫音……っと」と呟きながらスマホをついついっと操作する。
「あ!これこれ、倫音」
スマホの画面に映っていたのは、あの日の写真立てに映っていた男だった。
やっぱり……こいつ、間違いねぇ。
『ううん、もう……大事じゃない』
そう言った時の繭莉の寂しそうな顔を思い出した。
「何だぁ轟、お前も普通にゴシップとかに興味あんの?」
上鳴が茶化すように焦凍に言った。
「……いや……そういうんじゃ、ねぇけど……」
繭莉……付き合ってた、倫音と……
もしかして、俺とあんな事があったから……倫音忘れる為に、切った?
確かにただのイメチェンじゃ、ねぇかも……
たかが髪の毛一つで大袈裟かもしれないが、そうとしか考えられなかった。
ピクリとも動かなくなった焦凍を見て、耳郎と上鳴が不思議そうに顔を見合わせた。
「俺……帰る……」
「おい、轟?」
「悪ぃ、じゃあ」
心配そうな表情の2人をよそに、焦凍は教室を出ていた。
そこから、どうやってここまで来たのかは正直覚えていない。
気付いたら、繭莉のアパートの前にいた。
しかし、インターホンを押そうとして考えてしまう。
今、会ってどうすんだ?
倫音と付き合ってたのかとか、聞くのか?
……おかしいだろ、それ……
「あれ?」
後ろから男の声が聞こえて思わず振り返ると、そこには何故か、倫音がいた。
「……あ……」
倫音は上から下まで、焦凍を舐めるように見た。
「あ……もしかしてきみ、繭莉の新しいカレシ?……ふぅん……ほんっとイケメン好きだなぁ、あいつ」