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たまのケージ【ヒロアカ】

第11章 スターと恋(轟焦凍)


 「焦凍!どうしたの?連絡もしないでこんな時間に……」
 家に帰るなり玄関に出てきた冬美にそう言われて、焦凍は勝手に気まずくなった。

 それもそのはず、家を出たのは昨日の晩、今は朝。

 「お父さん、居なかったからよかったけど」
 「ごめん、今度からちゃんと言うから」
 そう言うと冬美は、それ以上何も追及してこなかった。
 それが、有難かった。
 
 自分の部屋に入り、上着を脱ぐ。
 
 その時、ふんわりと繭莉の匂いが鼻を掠めた。

 ふと、昨晩の出来事が脳裏によみがえる。


 俺、昨日繭莉と……


 そう思うと、さっき別れたばかりなのにもう会いたくなってしまう。
 
 また、感じたい。

 温かな唇の感触、甘やかな身体……全部、全部。



 焦凍は、繭莉の沼に突き落とされていた。



 

 沼にはまった人間は、どこに居てもその事ばかり考えてしまう。

 焦凍も、そうだった。

 学校に居ようが授業中だろうが、考えるのは繭莉の事ばかり。
 ただ、会いたいと思う気持ちばかりが膨らんでいく。

 会いたいなら、連絡すりゃいいんだろうけど……

 忙しいかも、しんねぇし……

 「轟さん?」
 考え込んでいた所に八百万に話しかけられて我に返る。
 「具合でも、悪いんですか?もう授業終わりましたよ?」
 気付けば、もう放課後になっていた。
 そんなのにも気付かない程……人の没頭とは恐ろしいもんである。
 「悪ぃ。ちょっと……」
 と、言いかけた所でどこかから上鳴の声が飛んできた。
 「あー!繭莉、すっげーイメチェン!」

 繭莉……?

 すっかり繭莉センサーに敏感になっていた焦凍は、思いの外近くにいた上鳴に話しかけた。
 「上鳴、繭莉がどうかしたのか?」
 「お!轟お前、繭莉好きなの?いや、これ見ろよ」
 そう言って、焦凍の目の前にずいっとスマホを出した上鳴。

 その画面には、繭莉が映っていた。

 この間会った時と決定的に違うのは、髪の毛だった。

 腰位まであった筈の髪が、肩上までバッサリ切られていたのだ。

 「何でだ……?」
 「何でって、イメチェンじゃね?」

 上鳴の言う通り、ただのイメチェンかもしれないが、どうにも気になってしまう。
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