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たまのケージ【ヒロアカ】

第11章 スターと恋(轟焦凍)


 それは、いつもの教室で起きた出会いの話。

 「わあぁっ、ごめん!」
 耳郎響香の机から、一冊の雑誌がたまたま通りがかった焦凍の足元にバサっと落ちた。
 「別に」
 焦凍はそれを耳郎に渡そうと拾い上げた。
 その時、こんな表現をするのも何だかおかしいが表紙の人物と目が合った。

 ギターを抱えて、こちらに微笑む美人。

 「轟?」
 耳郎に呼ばれて、焦凍ははっとなった。
 「……悪ぃ」
 少しの間見入ってしまっていたその雑誌を耳郎に渡すと、「ありがと」と言葉が返ってくる。
 「轟、繭莉好きなの?」
 「?」
 そう聞かれて、焦凍は首を傾げた。

 確かに美人だとは思うが、好きというか……そもそも今日が初見なのだ。

 「いや、初めて見た」
 「そっか、でも曲は聴いた事あるかもよ。最近よく、流れてるから」
 「そうなのか」

 今一度、耳郎の手に渡った雑誌を見る。

 『甘井繭莉特集』と、でかでかと書いてあるのでそれが彼女の名前だと判断するのに時間は掛からなかった。

 「耳郎、そいつが好きなのか」
 「うん、そうだね。ギター上手いし、ベースも弾けるし、ついでに歌も上手いし……ウチは趣味だけど、繭莉には憧れる」
 「そうか」

 その、繭莉とやらはそんなに世間の認知度が高いのだろうか。
 焦凍は、自分の席に戻るとスマホで甘井繭莉を検索してみた。

 甘井繭莉。

 18歳。

 去年、デビュー曲がSNSを中心に結構バズる。

 そのまま、スターダムへの階段を駆け上ったらしい。

 一通り彼女の情報が入って来た所で焦凍は思った。

 もしかして、クラスで繭莉知らないの、俺だけか?

 いや……んなワケねぇだろ……多分……

 「どうしたの?轟くん」
 いつの間にか近くまで来ていた出久に話しかけられて、焦凍はスマホから目を離した。
 「緑谷、繭莉って知ってるか?」
 「繭莉……あ、甘井繭莉?うん、知ってるし僕もたまに聴くよ!轟くん、好きだったの?」
 やっぱり、彼女の認知度はまぁまぁだったらしい。
 「いや、さっき知った」
 「そうなんだ。でも、テレビとかでよく流れてるから聴いた事はあると思うよ」
 耳郎とほぼ同じ事を出久も言った。
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