第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)
好き。
その一言が、どれだけ聞きたかったか。
「ったく、何でごめんなんだよ」
照れを隠したくて、ついどうでもいい事を言ってしまう。
「だって、こんな……ごめんなさ、っ」
それでも謝る繭莉を黙らせるために、唇を奪った。
「ん、んっ……は、せんぱ、んっ!」
口内に舌を差し入れて、甘い唾液ごと舌を掬い取ると、抱き寄せていた腰がぴくんと反応した。
「んっ、んぅ……」
引けてきていた腰をぐっと自分の方に寄せて、優しく口内を犯すと、力が入らないのかその身体がもたれかかってくる。
「……はぁっ……」
唇を解放すると、勝己に身体を預けたまま肩で息をする繭莉。
「は……先輩……あの時の……本当……?」
「あの時の?」
「……私の事……好きって……」
……マジかよ……
「今更ンな事聞くんか?」
「だって……」
繭莉の瞳が、揺れた。
「好きだ、繭莉」
ただその言葉だけが、素直に出てきた。
もう一度、キスをしようとしたその時だった。
「おい、繭莉」
背後から声が聞こえて、思わず2人はバッと身体を離して振り向いた。
そこには、勝己と同じ位の歳の男が立っていた。
「駅前の薬局行くって言っといて何男とイチャついてんだ?」
「……え、えっと……」
戸惑う繭莉に勝己は尋ねた。
「誰だ?」
「……兄です……」
こんな所を見られた恥ずかしさからか、手で顔を覆ってそう答えられた。
……兄ちゃんかよ……
「車で迎えに来てやったんだから、有難く思えよ。あ、そっちの人」
「?」
「ホテルまで送ってってやるから。どこ泊まんの?」
ホテルなんて、取っていなかった。
気合いで行けば、1日で往復出来ると思っていたのだ。
「先輩、ホテル取ってますか?」
「いや、取ってねぇ」
そう答えると、兄妹は何故?という顔でこちらを見てきた。
2人の表情から察するに、どうやら往復は無理そうなことが見て取れた。
「今日帰ろうと思ってたから」
「いや、無理だぜ?今日は」
イケると、思ってたわ。
……無理なんか……
「行くあて無いなら、ウチ泊まれば?どうやら繭莉と知らない仲じゃ、なさそうだし?」
どうやら、お世話になるしかなさそうだった。