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たまのケージ【ヒロアカ】

第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)


繭莉の気持ちが知りたいと思いながら、仕事やら何やらに追われている内に気付けばあの日から2か月も時が過ぎてしまっていた。

12月。
 
誰もが忙しなくなるこの季節。
 
勝己もまた、その中の人間の1人だった。
 
しかし、時間に追われる中でも考えるのは繭莉の事だった。
 
いつになったら会えるのだろうかと、焦りを感じ始めていた。

しかし彼女の連絡先も何も知らないのだから、こちらから会おうと提案する事も出来ない。
 
どこかで偶然出会う事位しか出来ないのだ。
 
だけど、そんな偶然が都合よく起きるはずもない。

最近その事ばかり考えてしまって、碌に事務作業が進まない。
 
「どうすりゃいいんだ……?」

つい独り言を言ったその時、机の上のスマホがピピピ……と音を立てた。

液晶を見ると電話をかけてきたのは、出久だった。

「なんだぁ、またお前かよ」
『ごめん、今忙しかった?』
「……いや、」
『あのさ、また今度学校でコミュニケーション概論やるんだけど、ゲストで来て欲しいって相澤先生が言ってたよ』
「だから、悪例で呼ぶなっていつも言っとんだろが!」
『あはは……そんなつもりはないんだけど』
「用はそれだけか」

そう言うと、電話の向こうの出久の声のトーンが少し落ちた。

『かっちゃん……なんか、残念だね』

 残念……?

 何言っとんだ、コイツ。

「何がだよ」
『あれ?……かっちゃん、知らない?』
「だから何がだ!」


『甘井さん、ヒーロー辞めるんだって』


突然の情報に、言葉に詰まる。

 アイツが、辞める?ヒーローを?

でも、何となくこうなるんじゃないかというのは少し、思っていた。

「……なんでお前が知っとんだ、ンな事」
『相澤先生が、そう聞いたって言ってたよ』
「辞めて、どうすんだ?」
『実家に帰るって、言ってたって……』

いつか会えたらどころか、2度と会えなくなってしまうのではと勝己は思った。
 
というか、相澤にはそういう話はするのに自分にはしてこない所が少し腹立たしい。
 
とにかく、言ってやりたい事がありすぎる。

「いつ、帰んだアイツ」
『今日って、聞いたよ。……今から駅に行ったら、間に合うんじゃないかな』

その言葉を聞いて、勝己は衝動的に事務所から飛び出していた。
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