第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)
素早くナカから自身を引き抜くと、白い胸元に自分の欲を思い切り吐き出した。
「はー……はぁ……ん……」
「は……動くなよ……零れっから」
テーブルの上にあったティッシュを何枚か取って、欲で汚された胸元を拭ってやる。
すると、繭莉が頬に顔を摺り寄せてきた。
そのまま、ちゅっと触れるだけのキスを頬にされる。
「っ!お、おま……」
頬を手で押さえて狼狽える勝己を見て繭莉がまるで悪い事をしたかのように俯いた。
「ご、ごめんなさい……」
「……いや、それ違ぇ……」
まるで付き合いたてのカップルのように照れ合う2人。
暫く、抱き合って甘い余韻に浸っていた。
「身体、大丈夫か?」
帰り際、すっかりヒーロースーツに身を包んだ繭莉にそう尋ねると、コクンと頷かれる。
「大丈夫、です……あの……すみません、色々……」
何に対する謝罪なのか、いまいち分からないが赤く染まった顔が可愛いのでまぁよしとする事にした勝己は繭莉の藍鼠色の髪をスッと梳いた。
「気ィつけて帰れよ」
普段なら絶対言わなさそうな言葉がするっと出てきて、自分が気持ち悪いとか思ってしまう。
「あ、はい……じゃあ、失礼します……」
勝己に深々とお辞儀をすると、繭莉は事務所を出て行った。
「何だ、やっぱカノジョなんじゃないっすか?」
ひょっこりと顔を出したサイドキックが面白そうと言わんばかりの表情で揶揄ってきた。
「だから、違ぇっつってんだろ!」
そう言った所で、勝己は我に返った。
俺達、これからどうなるんだ?
俺は前にアイツに好きだって言ったけど……アイツからは好き……とも何も言われてねぇし……
つぅか、相澤先生は?
勢いでヤっちまったけど……アイツが好きなのって……
と、数多くの疑問が浮かび上がってしまった。
「ダイナマイト!何考えてんすか?」
揶揄いを続けられたが、もうそんなのは勝己の耳に入る事はなかった。
アイツの気持ち、聞かんと……
何にせよ、ここでああだこうだと思っても答えを知っているのは繭莉だけなのだ。
勝己は、次に会ったら遅すぎるけれど彼女の気持ちを確認しようと思った。
本当に、遅すぎると後悔する事になるとも知らずに。