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たまのケージ【ヒロアカ】

第10章 男女問題はいつも面倒だ(爆豪勝己)


いつどこで会えるかすら分からない相手に恋心を抱くなんて。
 
よくもまぁ、何年もそんな感情を心の中に隠して生きてきたもんだ。

自分にはそんな芸当は出来ないと勝己は思った。

「そうだよね!憧れって、誰にでもあるよね!僕だってオールマイトにすごく憧れてたし!」
出久が繭莉をフォローでもするかのように言った。
「あ、それ、それです!……ヒーローとして……そう、だから違うんです、先輩!」

なら、その真っ赤な顔の理由はどう説明するのだろうか。

「どうせワンチャン相澤先生とすれ違えるかもと思ってこの話受けたんだろ?浅はかじゃね?」
つい、言い方に棘が出てしまう。
それもそうだ。
自分の惚れた女が、憶測ではあるが違う男が好きだと知ったら誰だってそうなる。

繭莉は勿論、勝己の心の内など知らない。
 
彼女からしたら、自分など数いる先輩ヒーローの1人に過ぎないのだ。
 
「せ、先輩!ホントに違います!」
 
しかし、こうして一生懸命否定するのは何故だろうか。

 胸の内を知られて、恥ずかしいからか?

 それとも、本当に相澤先生はただの憧れで俺に気でもあるから知られたくなかった……とかか?

都合のいい解釈なんて、幾らでも出来る。
 
しかし、正解を知っているのは繭莉ただ1人である。

「何が違ぇんだよ。顔に書いてあんぞ、好きだって」
「っ!そ、そん……」
「誰の顔に好きだって書いてあるんだ?」
いつの間にか、相澤が戻って来ていた。
「くだらない話してないで、行くぞ。時間は有限だ」
そう言って歩き出した相澤の表情が、いつから話を聞いていたか正直分からないが、どこか満更でもなさそうだ。

このままだと、2人の距離は確実に縮まるに違いない。
 
非常にヤバいと勝己は思った。
 
考えすぎかもしれないがこのままでは、好きな女と自分の元担任が恋に落ちるというカオスな状況になってしまう。
 
 ……どうしたもんか……

「かっちゃん?」
出久に呼ばれて、勝己は我に返った。
「ンだよ!」
「いや、ほら、行かないと……置いてかれるよ?」
「っせぇな、わぁっとるわ!」
悪態をついて歩き出すが、正直その後の事は何一つ頭に入って来なかった。
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