第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)
「だって俺、おっさんなんでしょ?」
……根に持ってらっしゃる……
「どう?さっきの質問の返事……聞かせて?」
顎を掴まれて、ぐいっと上を向かされる。
自分の心臓の音がうるさくて、ホークスの声が上手く聞き取れない。
「え、えっと……」
「うん」
「その前に……その……」
「うん」
「私の事……どう思ってるんかな……って……」
「うん!?」
ホークスが一瞬、固まった。
「どうって……いつも、言ってたよね?俺」
「な、なにを……?」
「繭莉ちゃんの事、可愛いって」
「そ、そりゃ、どうも……」
「それで、こないだ我慢できなくてあんな事した」
彼は、赤くなった顔を右手で覆った。
「……察してよ……」
そ、それって……
つまり……
でも……
「察せないよ……分かんない……」
いつも、このひとは肝心な事は言ってくれない。
でも、今はちゃんと言って欲しいと思ってしまう。
私の事、好きだ、って。
突然、ホークスが私の手を取って歩き出した。
「え……なに?」
「じゃあ、教えてあげる。ついてきて」
「え?どこ行くの……」
「ん?……いい所」
そう、言われて連れてこられたのは繁華街のホテル街の一室だった。
「な、なんで、ラブホ……」
「なに?真面目なビジホでそんな事するの?」
「うっ」
「それとも、『夜景の見える綺麗なホテル~♡』とか、夢見てた?」
「……ここで、いいです……」
そこまで、夢見とらんけど……
はは……所詮、こんなもんか……現実は……
「じゃあさ」
ホークスが、ばさっと上着を脱ぎ捨てた。
「俺が繭莉ちゃんの事、どう思ってるか殺さないように死ぬ程教えてあげる」
「殺さないように死ぬ程って、どっち……」
「おいで」
ホークスが、私の前に手を差し出してきた。
これからする事なんて、1つしかない。
けど、それがしたい。
死ぬ程教えて欲しいとか、期待してしまう。
私は、差し出された手をぎゅっと握った。