第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)
その言葉に胸がドキッと高鳴って、頭の天辺から爪先まで熱くなる。
なんか、期待、しちゃう……なんて……
「何考えてるの?繭莉ちゃん」
「えっ」
心臓の音がどんどん速くなっていく。
「明日、ニュースになるかもね」
「え!」
ニュースって?
まさか、えっと……!
私達、まだそんな……!
「『女子高生の遺体、海で発見。犯人はいまだ逃走中。』……みたいな……」
「え……」
あらやだ!
物騒!
ヒーローが殺人とか前代未聞!
「ご、ごめんなさいすいません!犯罪以外ならパシリでも何でもするから殺さないで!まだ死にたくない!」
私が、パニクりながらホークスの肩をガクガク揺さぶると、プッと吹き出された。
「はは、面白っ」
「……う……」
……揶揄われた……
「でも、殺しちゃうかもね。だって俺、こないだ繭莉ちゃんの事、殺しかけたみたいだし」
「……へ?」
「あの時必死にさ、『しんじゃう!』って、言ってたでしょ?」
「あのと……」
あの時……
あのときって……
あの時か!
あの日の屋上での情事を思い出してしまって、顔が真っ赤になってる……気がする。
「あ、あれは……その……」
急に恥ずかしくなって、ごにょごにょと口ごもってしまう。
「あの時ね、本当に、ごめん。……止まんなかった」
「いや、その……私も、あの時キレちゃって……ごめん、なさい……」
ホークスの手が、頬に触れた。
「殺さないように、するから……」
お互いの視線が、絡み合う。
「続き、させて?」
「あ、あの……」
顔が熱すぎて、汗をじんわりかいている事に気が付いた。
え?
汗!?
ちょ、ま……
メイク、崩れちゃう!
「待って……!」
私は焦って、ホークスの視界を塞ぐように手で彼の顔を覆った。
「え!何?」
「あの、ごめんけど!み、見ないで!汗で、メイク……」
「あ、そーいう事?」
次の瞬間、手首を掴まれてグイッと左右に開かされる。
ホークスが、にっと笑った。
「綺麗だよ」
息が、一瞬止まった。
「な、なに言っ……」
「目が、綺麗。そう、あれ……何だっけ……あ、そうそう。アメジストみたい」
「!……おっさんくさ……」