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The usual one【ヒロアカ中心】

第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)


 結局、あの缶コーヒーは見つからなかった。
 いや、缶コーヒーが見つかった所でな話だ。

 ホークス、ここにはもういないかも、知んないし。

 …………

 クッソ……
 
 半ば、ヤケクソだ。
 
 こうなったら、とことんやってやる!

 まず、ここら一帯を虱潰しに探してやる。

 それで居なかったら、また考えよう。

 しょうもない私のこの思いのたけを全部、ぶつけたるわ!

 頑張れ、私!

 

 ……と、意気込んでみたのはいいけれど。

 夜になっても、この街ではホークスのホの字も見つけられなかった。 
 私は、眠らない街と言われている奥の繁華街を歩きながら溜息を吐いた。

 これで、いなかったらどうしようかな……

 はたと足を止める。

 ちょっと、待てよ?

 さっきは勢いで探し回ったけど……

 私今、とんでもなく重たい女に、なってない……?

 え、私が男だったら付き合いたくないわぁ……

 「もう、やめよ……」

 独り言を呟くと、いきなり目の前にスーツのお兄さんが現れた。

 「お姉さん、ここ、客引き禁止ですよ?」
 「……は……」
 「だ・か・ら!客引き、禁止!分かる?」

 おい、ちょ、私、夜の蝶と間違えられてる……

 「わ、私そんなんじゃありません!」

 否定すると、スーツのお兄さんは私の事を舐めるように見て渋い顔をする。 

 「あ、そうなんですか?……アナタ、ちょっと署までご同行願います」

 け、警察かよ!

 私は、人生初の補導とやらをされる羽目になった……。



 警察署の一室。

 「あはは、君、メイク上手だからキャバ嬢と間違えちゃったよ!高校生だったんだね」
 「それは、どうも……」
 
 警察のお兄さんは、私の顔をまじまじと眺めた。

 「確かにキャバ嬢にしてはメイク薄かったか!ごめんごめん」
 「……はぁ……」

 なんだ、このやりとり……それにしても補導されるとか……学校の内申に、響かないかな……?

 「……話を変えようか。君、あんな所でこんな時間に何してたのかな?」

 そう言われて、壁にかかっていた時計に目をやるとそれは午前1時を指していた。
 こんな時間まで探してたとか、イタい……。

 「……知り合いを、探しに……」
 「こんな時間に探す知り合いなんて、碌なもんじゃないよ?」
 「……すみま、せん……」
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