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The usual one【ヒロアカ中心】

第7章 夢中(相澤消太)


 お、親子て!
 母親誰やん! 

 と、自分にツッコミを入れながら袋を縛る。

 「じゃあ消太、私エリちゃんの髪切ったし、そろそろおいとましようかな」
 私がそう言うと、消太は「途中まで送ってく」と立ち上がった。

 だけど、そうすんなり帰れそうになかった。

 「あー!消太って呼んだぁ!怪しー!」

 ……あ、しまった。

 「おねーさん、ちょっとここ座って!洗いざらい吐いてもらうんだから!」

 ピンクの子が、ソファをポンポンしながら言った。

 「いや、吐く事なんて……」
 どうすればいいか分からなくて、視線がフラフラしてしまう。
 「芦戸、客を困らすな」
 「じゃあ相澤先生が吐いて!」

 消太が、大きな溜息を吐いた。

 「……俺の、彼女だよ」

 消太の発言に、みんなが何故か目を輝かせる。

 「えー!マジだぁ!どうやって知り合ったの~?」
 「相澤先生のどこがよかったんっすかぁ?」
 矢継ぎ早に質問が飛んできて、どこから回収すればいいのか分からない。

 あれ、私若い時、こんなだったっけ?
 今の子が、みんなこうなのかしら……?

 「あ……えっと……?」
 質問に答えたらいいのか分からなくて戸惑っていると、消太が突然私の手を掴んだ。
 「もう、吐いたんだからいいだろ。繭莉、行くぞ」
 「あーっ!逃げるぅ!話聞きたかったのにぃ!」
 「……甘井さん、ばいばい」
 「あっ、エリちゃん、またね!」
 私は、消太に手を引かれて寮を後にした。

 「悪かったな、生徒達がうるさくて」
 歩きながら、消太が言った。
 「あ、ううん!若い時って、あんなもんでしょ」
 「そうだったか?」
 そう言われて、恋愛話にテンションの上がる高校生の消太を想像する事は出来なかった。

 ……人によるか。

 ちょっと、話、変えよ。

 「それにしても、エリちゃん可愛かったぁ……!」
 「また伸びたら切ってやってくれ」
 「勿論!」
 「繭莉」

 消太が、いきなり立ち止まって私の方を見た。

 「今夜、お前ん家行っていいか?」
 「あ、うん」
 私がそう答えると、消太がスッと私の前に顔を近づけてきたので思わず目を閉じてしまった。

 キス、される……!

 「あら、そういうのは家まで我慢しなさい」
 女の人の声が背後から聞こえて思わず振り向いた。
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