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The usual one【ヒロアカ中心】

第1章 限定って言われると欲しくなる(ホークス)


 このまま、全部、はいっちゃったら……

 そんな期待をした、次の瞬間。

 ビーッ!!

 ビービーとけたたましいブザー音が鳴って、おにいさんの身体がビクっと反応した。

 「あ!やば……」

 ポケットからスマホを取り出すおにいさんを見て、なんか……
 
 冷めてしまった。

 こんな事しようと思うんなら、スマホの電源位切っとけ!

 ずるっと私のナカからおにいさんのが抜けるとちょっとした喪失感に襲われるけど、今となってはどうでもいい。

 「ご、ごめん……」
 「いいです……別に……」

 さっきまでのクソ甘いムードはどこへ行ったんだ。


 台無しじゃねえか!


 「ホント、なんか、ごめんね?繭莉ちゃん……」

 自分の衣服を整えながら、おにいさんは気まずそうに謝ってくるけど心底どうでもよくなってしまった。

 そもそも別に、おにいさんなんか、好きじゃないし!

 なんか雰囲気でヤっちゃったっていうか……うん。

 そういう事にしよう、そうしよう。

 「……うん、だから別に……」

 『駅周辺で敵の目撃情報あり!応答願います!』

 と、スマホから漏れた声を聞いて、私はちょっと安心した。

 ホントにヒーローだったんだ、コイツ。
 毎日ここに通い詰めてるから、実はニートかと思ったわ。
 いや、こっちこそ疑ってゴメンネ。

 「早くしないと、敵に逃げられますよ……?」

 私が無表情でショーツの紐を結び直しながら言うと、おにいさんはちょっと残念そうな表情をした。

 「じゃあ、ま「次なんてあるわけねぇだろ!」

 おにいさんの言葉を遮っちゃったし口悪くなったけど、いいや!

 人をこんなにしといて、次があると思うなよ!? 
 なんか色々ドキドキキュンキュンした乙女心を返せ!

 「じゃあ、さよなら!」

 私は、もう開かなくなってもいいやと思って屋上のドアをバン!と思い切り閉めて、その場を立ち去った。

 


 「あーーーー……ホンっと、腹立つ……っ……」

 お昼前と同じように、机に突っ伏す私を亜有佳がご愁傷様というような目で見ていた。

 「繭莉……それ位にしときな?ホークスだって、悪気があった訳じゃないんだから……」
 「えっち中に、呼び出しとか……っ……」

 ププっと笑う麻弥をジト目で見ると「まーまー落ち着け」と窘められる。
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