第6章 ブルーベリー・ナイツ(切島鋭児郎)
「場所分かるか?」
「……どこでしたっけ……」
「こっちだ」
私達は、並んで会議室へと向かった。
「ありがとうございました、相澤先生」
会議室のドアを開けると、誰も使ってなかったからか少し涼しかった。
取り敢えず椅子に腰掛けて、レコーダーやら何やらを鞄から取り出す。
すると、突然相澤先生が私の髪に触れた。
「……?」
そして、髪を耳にそっとかけられる。
「ど、どうしました?先生」
「疲れた顔してるな。……仕事、忙しいのか?」
相澤先生……
全く、元だけど……何だかんだ生徒には甘いなぁ……
「……色々、ありまして……」
私がそう言うと、相澤先生は隣の椅子に腰掛けた。
「色々って何だ?」
「……うーん……」
あんな……爆豪くんやら切島くんやらホークスやらの事なんて、うっかり話そうもんならドン引きものだ。
言うまい、絶対に。
そう思っていたのに、私を見る相澤先生が、ホントに私を心配してくれてる表情だった。
私は、簡単に絆された。
「あ、あの……実は……」
気付いたら、相澤先生に洗いざらい吐いていた。
「すみません……あの、先生にこんな話……」
「いや、いい。……しかし、よくそんな短期間にそこまで色んな奴としたな。普通聞いたら、ドン引きもんだぞ」
「……ですよね……」
ああ、話しちゃった……
でも、ちょっとだけスッキリしたかも。
「私、別に……好きでした訳じゃ、なくて……」
「何となく、ホークス以外は話で分かった」
「先生……何で私、こんななんですかね?」
全部吐き出した後は、愚痴るしかなくなってしまっていた。
「何か、よく分かんないけど身体だけ求められて……ちょっと男の人って、よく分かんない……やっぱ私が、馬鹿だからですかね……」
「甘井、やっぱりお前、疲れてるだろ」
「……疲れちゃった……」
涙が零れそうになったその時、私は相澤先生に抱きしめられていた。
吃驚して、涙が止まった。
「あ、相澤先生……?」
「疲れてるなら……甘やかしてやるから」
他の人達とは違った、大人の男の匂いに包まれて、頭がクラクラしそうになった。
「今は、俺だけ見てろ」