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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第1章 初めてのキスは…【デンジ夢・前編】



微かな物音でデンジは浅い眠りから覚めた。
照明の消えた広い部屋。カーテンの隙間から月明かりが差し込んでいる。

「……ん…」

デンジはルルの部屋でビールを飲んで酔っ払い、少し眠ってしまったことを思い出した。
小さく物音のする方へ視線を向けると、シャワーを浴びたのか濡れた髪をタオルで拭きながら冷蔵庫から飲み物を取り出している彼女の後ろ姿が見えた。
ぼんやりとした意識の中で、デンジは美しいシルエットを眺める。

「…ルル、さん…?」

ベッドに肘をついて少し身体を起こすと、ズキンとこめかみが痛んだ。

『あ…目が覚めた?』

ベッドに近づいてきたルルは、飲みかけのミネラルウォーターをデンジに差し出す。

『お水、飲む?』
「…おぅ」

よく冷えたペットボトルを受け取り、ゴクゴクと飲み干したデンジは、チラリと彼女を見上げた。

「なぁ…今何時?」
『…もう少しで、2時くらいかな』
「そっかぁ。結構眠っちまったなぁ」
『うん…今から帰ると、一緒に住んでるアキ先輩とパワーちゃんに迷惑かけちゃいそうだよね……良かったら、このまま朝までウチで寝てく?』

ルルの言葉にデンジは目を見開いた。

「ええっ!?マジでいいのか?…いや、でもよぉ…さすがにそこまで世話んなっちまうのは悪ィんじゃ…」
『別に?私は大丈夫だよ』

こともなげに言う彼女に、デンジは嬉しさと戸惑いを感じながら答えた。

「そ、そうか。…じゃあ、お言葉に甘えちまおっかなぁ〜……でも、他に布団とかあんのか?」
『布団はこれしか無いけど、このベッド広いから大丈夫でしょ?…ぁ、シャワー浴びたいなら自由に使って?バスタオルは浴室の戸棚にあるから』

ルルはあくびをしながらそう言うと、ベッドに潜り込んで横になった。

『おやすみぃ…』

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