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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第1章 初めてのキスは…【デンジ夢・前編】



「じゃあよぉ…ルルさんは、俺のことどう思ってんだ?正直に教えてくれ」

身体を乗り出して聞いてくるデンジに、ルルは考えながら答えた。

『そうだなぁ。デンジ君は…強くて、面白くて、女の人には優しいなぁって思ってる』
「へぇ~、そんな風に思ってくれてたんだな」

デンジはまんざらでもないように頬を赤らめながら微笑んだ。

「でもよぉ、俺が優しくしてぇのはルルさんだけかもしれねぇぜ?」
『またまたぁ』
「いや。割とマジだぜ」
『えー。だってデンジ君はマキマさんのことが好きなんでしょ?初めてのキスの相手はマキマさんがいいって、昨日言ってたじゃない』

彼女の指摘にデンジは焦った。

「えっ、あ、あぁ……あれは、まぁ…憧れっつーかさぁ…」
『…ふーん』

ルルはそう言うと立ち上がり、キッチンの冷蔵庫から新しい缶ビールを取り出すと、蓋を開け、その場で立ったままグビグビと飲んだ。
デンジはそんな彼女の姿を見つめながら言う。

「…なぁ…ルルさんて彼氏とかいねーの?」
『彼氏かぁ…いると思う?』

ルルはそう言いながら飲みかけのビールを手にデンジの隣に戻ってきて、思わせぶりに微笑んだ。
デンジは困ったように眉間にしわを寄せる。

「…わかんねぇよぉ。いてもおかしくはねぇんだけど…できればいないでくれっと嬉しいかも…なんて思ったり」
『ふふふ。なにそれ』
「だってよぉ…なんか俺、さっきからずっと心臓バクバクしてんだぜ」

胸の高鳴りを感じながらデンジは思い切って言った。

『あー…それは多分、さっき飲んだビールで酔っ払っちゃったんだね。ふふ…デンジ君、顔真っ赤』

ルルの言う通りデンジは酔ってしまったらしく、頭がクラクラしてきた。

『大丈夫?少し横になった方がいいかな…』

ルルはフラフラになってしまったデンジに肩を貸して立ち上がらせると、広い部屋の奥、窓際に置かれているダブルサイズのベッドに寝かせた。
キッチンからグラスに水を汲んできて、デンジの首を支えてひとくち飲ませる。

『…そのまま寝ちゃっていいよ』

ルルの声をボンヤリと聞きながら、柔らかな枕に顔を埋めて目を閉じたデンジは、ユラユラと眠りの底へ沈んでいった。

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