第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】
「オイ、いい加減に…」
振りほどこうとして女の顔を睨みつけたアキは、思わず息を飲んだ。
「…っ!」
そこに居たのは、水商売風の派手な女に変装したルルだった。
『行きましょ?お兄さん。ふたりっきりになれるトコ』
彼女はいたずらそうに微笑むと、言葉を出せなくなってしまったアキの腕を引いて近くのラブホテルへと入っていった。
個室に入ると、手際良く部屋の中を調べ始める。
何も怪しい所がないことを確かめると、ルルは改めてアキの前に立った。
『…お久しぶりです。アキ先輩』
驚きと混乱で言葉を失ってしまったアキは、何も言わずにルルを強く抱きしめた。
『……』
されるがまま、アキに抱きしめられるルル。
「ずっと、探してたんだぞ……無事でよかった…」
腕の中の存在を確かめるようにアキは力を強めた。
『……心配、してくれてたんですね』
アキは彼女の両肩に手を置いて身体を離した。
「当たり前だろバカ。お前がいなくなってから、どれだけ探したと思ってんだ…」
その言葉に、ルルは一瞬泣きそうな顔をした。
『…すみませんでした』
「……極秘の任務だったんだ…謝らなくていい。お前が無事でいてくれれば、それだけで充分だ」
優しく微笑んだアキを見上げて、ルルは静かに言った。
『…アキ先輩……私が会いに来たということがどういうことか、分かりますか…?』
「っ…まさか」
緊張した面持ちになったアキの目をルルは真っ直ぐに見つめ返した。
『銃の悪魔に繋がる手がかりを掴みました』