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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】



ルルが頼ってきた時に全力で答えられるよう、決意を固めたアキ。
もちろん、他の公安の仲間達には心の内を知られることの無いよう、気をつけながら任務をこなしていた。

街中を歩く度、無意識に人混みの中に彼女の姿を探してしまう。
視線を感じて振り返っても、そこには見知らぬ人々がいるだけで、落胆のため息をついて肩を落とす。
そんな日々を過ごしていた。



ある時、アキは仕事帰りにふと気が向いてひとりでバーへ立ち寄った。

ルルと最後に会った夜に2人で来た、長いカウンターだけのこの店は、週末のせいか普段よりも賑わっていた。

空いているスツールに座りウイスキーを注文したアキは、グラスを傾けながらひとり物思いにふけった。
考えてしまうのはルルのことばかりだった。

2杯目のウイスキーを飲んでいる時、客の中に居た派手な格好の女性が声をかけてきた。

「…お兄さん、お一人ですかぁ?」

アキが答えないでいると女は続けた

「私もひとりなんで…良かったらご一緒しません?」

だいぶ酔っているのか、少し舌足らずな話し方のその女は返事をしていないのにアキの隣の席へと移動してきた。

水商売でもしているような露出度の高い華やかな服を着て、綺麗に巻かれた髪をゆるくアップにしている。
正直、見知らぬ女と一緒に飲む気になどとてもなれなかったアキは、女と目も合わせずに言った。

「悪いけど、誰とも話したくない」
「…そんなつれないこと言わないで楽しく飲みましょ?……あ、それか…この店出て2人っきりになれるトコ行っちゃう?」
「……ハァ…」

相手をするのも面倒だったアキは、グラスに残っていたウイスキーを一気に飲み干すと、会計をして足早に店を後にした。
けれど、女は店の外にまでアキを追いかけてくる。

「…ねぇ、待って」

そう言ってアキに腕を絡めてきた。


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