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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第1章 初めてのキスは…【デンジ夢・前編】



「…洒落た部屋に住んでんだなぁ。所帯じみた早パイんちとは大違いだぜ」

デンジのストレートな感想にルルはクスクス笑った。

『そうかな…あ、適当に座って』
「お…おぅ」

キョロキョロしながら壁際のソファに腰掛けるデンジ。
間接照明の柔らかな光が、ボンヤリと室内を照らしている。

「…なんか緊張すんなぁ。俺、女の部屋入るのって初めてだワ」
『フフ…』

ルルは上機嫌に微笑むと、デンジには冷たいお茶を入れ自分にはビールを開けた。
隣に腰掛け、缶のまま口をつけて飲むルルの横顔を、デンジは盗み見ながら言う。

「ビールってそんなに美味ぇの?…ちょっと飲んでみてぇかも」
『えー。でもデンジ君、まだ16でしょ?』
「そうだけど…もうデビルハンターとしていっぱしに働いてんだから、ちょっとぐらい良くね?」
『うーん……まぁ、お店じゃないから味見くらいならいっか』

少し考えた後、ルルはそう言って、自分の飲みかけのビールの缶をデンジの方へ差し出した。
デンジは「これって…間接キスか?」と思っていることを表情にあらわさないように気を付けながら缶を受け取り、中に残っていたビールを一気に飲み干した。

「ヴェ〜、苦っ…なんでこんなんわざわざ飲むんだよ」
『ふふふ。デンジ君も大人になったらわかるよ』
「へぇー。…早く大人んなりてぇなぁ。そしたら、ルルさんともっと対等に付き合えるかもしんねぇし」

しみじみと呟いたデンジにルルは笑いながら答えた。

『何言ってるの。今だって十分対等じゃない』
「そうかなぁ……でもルルさんとは年齢差あるじゃん。俺、ガキ扱いされんのイヤなんだよなぁ」

すると、ルルは意外そうに言った。

『ガキ扱い?私、そんなことしてないつもりだったけどな…』
「マジで?それってばオレのことひとりの男として見てくれてるってことか?」
『あたりまえでしょ』

ルルの返事に、デンジは顔を輝かせた。

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