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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】



アキはそれ以上何も言わずにルルを包むように抱きしめた。

幼い子供をなだめるように背中をポンポンと優しく叩きながら、額にキスする。
そうしているうちに、彼女は小さな寝息をたてて眠ってしまった。

少し身体を離すと、あどけない寝顔に涙の跡がついているのが見えた。

「……」

彼女の頬をそっと指先で拭い、アキはベッドから出た。
リビングの机の上を片付け、上着を羽織って部屋を後にする。

玄関を出るとき、もう一度室内を振り返ったアキは、小さくため息をついて静かに扉を閉めた。



その夜以来、アキがルルの姿を見ることは無くなってしまった。
携帯に連絡しても繋がらない。
異動の件も含めてマキマにルルのこと聞いてみると、特例で極秘の任務についているらしく、今どこで何をしているのかは教えられないと言われてしまった。

「くそっ…あいつ、無事だろうな…」

最後に会った夜、ルルは銃の悪魔の手がかりが掴めそうだと話していた。
誰にも言うなという彼女の言葉を守りながら、アキはひたすら連絡を待っていた。


そんなある日、チェンソーの悪魔の力を狙った一団にデンジが襲われた。
ギリギリのところで返り討ちにしたが、その時、相手側についていた組織の人間がルルの写真を持っているのを見た。

「…その写真、なぜお前が持ってる?彼女はどこにいるんだ!おい!答えろ!」

アキが問い詰めようとした時、その人間は口封じのために悪魔に殺されてしまい、何も聞き出す事は出来なかった。

この件はもちろんマキマへ報告し、ルルが何らかの事件に巻き込まれている可能性が高いとして、捜索の許可をもらえるように頼んだ。
真剣に訴えるアキに対し、マキマは顔色ひとつ変えずに答えた。

「ルルちゃんの動向は公安が把握してる」


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