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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】




『……お願い』

懇願するような彼女の声。
アキは引き寄せられるように唇を近づけた。

チュ…

そっと触れるだけのキスをして、唇を離す。
ルルはそんなアキの首筋に腕を絡めると、角度を変えて何度か啄むようなキスをした。

唇が誘うように開かれ、舌先でアキの唇をなぞる。
アキは濡れた舌先を触れ合わせた。

『…んっ……はぁ…』

静かな部屋に吐息混じりの水音が響く。
唇が離れると、銀糸がプツリと切れて彼女の口元を汚した。

頬を紅潮させ、少し息を乱しながら潤んだ瞳で見つめてくるルル。

「……」

アキはベッドに肘をついて少しだけ身体を起こすと、舌先でルルの口元を汚す唾液を舐めとった。

『…もっと…』

ルルはアキの両頬に手を添えて引き寄せ、再び唇を重ねた。
舌を絡め、深く口付けて唇を離す。

ゆっくりと目を開け、誘うように見上げてくるルルを、アキは何も言わずに見つめ返した。

『……先輩のイジワル』

少し困ったように眉を下げる。

『…私から言わなきゃ…何もしてくれないの?』

それでも優しく見つめ返すだけのアキ。
ルルはアキの首筋に縋り付いて引き寄せ、耳元で言った。

『……やっぱり…私じゃダメですか?』

その声は、微かに震えていた。

「そうじゃない。……お前のことを…大切に思ってるからだ」

腕の力を緩めて身体を離すルル。
アキは彼女の目元に口付けて、涙をキスで拭った。

アキの想い人を知っているルルの唇から、言葉がこぼれ落ちる。

『…嘘つき』


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