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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第4章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・後編】



沢渡アカネが公安の庁舎内で自殺したため、銃の悪魔が絡んだテロ事件の真相は分からないままになってしまった。

多くの死者を出した公安対魔特異課は、人員不足のため1課、2課、3課を4課と合併させ、マキマの指揮下に置かれることが決まった。


そんなある夜、新しいバディである天使の悪魔と共に任務を終え、マキマへの報告を済ませたアキが4課の事務所へ戻ると、斜め向かいのデスクでルルが書類を書いていた。

「お疲れ」
『…ぁ…アキ先輩……お疲れ様です』

簡単な挨拶をして、すぐに書類に向き直るルル。2人きりの事務所に、筆記具の音がカツカツと響いた。

「…それが終わったら帰れるのか?」

これまでルルからの頼みで意識して会話を控えてきたアキだったが、心身ともにいっぱいいっぱいな様子の彼女に、たまらず声を掛けてしまった。

『はい。あと少しなので、先にあがってください』
「……ああ…」

上着を羽織り、廊下に出ようとして足を止める。

「…昔、姫野先輩と3人で行ったバー…覚えてるか?」
『……ぇ……あ、はい。…覚えてます』
「…そこで飲んでるから…良かったら帰りに少し顔出せよ」

ルルが返事をする前に、アキは事務所を後にした。



繁華街のはずれ、とある雑居ビルの地下にある長いカウンターだけのショットバー
薄暗く静かな店内でアキがニ杯目のウイスキーを飲んでいると、カランカランという心地良いベルの音と共に入り口の扉が開き、ルルが入ってきた。

『お疲れ様です』
「…お疲れ」

隣のスツールに腰掛けたルルは『同じものを』とバーテンダーに頼む。
ロックグラスに注がれていく琥珀色の液体を見つめながら、アキは少しホッとしたように言った。

「……来ないかと思った…」
『…私がアキ先輩の誘いを断るワケないじゃないですか』

苦笑いしながら視線を合わせ、ふたりはグラスをあげて乾杯した。


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