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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第3章 初めてのキスは…【デンジ夢・後編】



『っ!』

突然の大きな音に驚き、身体をすくめるルル。
デンジが確認した液晶画面には、マキマの名前があった。


少し戸惑いながら電話に出ると、落ち着いた声が聞こえてくる。

「デンジ君、夜分にごめんね。いま…大丈夫かな?」
「…はい」

デンジはベッドから出て立ち上がると、ルルから離れるように窓の方へ歩いていった。

電話の内容は、任務についての短い連絡事項だった。
伝えたい事を話し終えたマキマは、「それじゃあ、おやすみ」と言って電話を切った。

『…誰からだった?』

デンジはぎこちなく振り返りながらルルの反応をうかがった。

「マキマさん。…明日、急に仕事が入ったって連絡だった」
『ふぅん…』

2人の間に、気まずい沈黙が流れた。
せっかく勇気を出してルルに告白しようとしたタイミングでマキマからの電話が鳴るなんて。と、デンジは不満に思った。

そもそも、マキマからデンジの携帯に電話がかかってきたのはこれが初めてだった。普段、仕事の連絡は早川アキから伝えられていた。それなのに、今夜に限ってマキマが直接電話をしてきたのだ。

『……』
「……」

ふいに、デンジは前に泊まった夜もマキマのことがきっかけでルルの態度が急によそよそしいものに変わったのを思い出した。

「い、いやいや!ルルさん、誤解すんなよ?明日の集合場所と時間を言われただけで、別に何もやましいことなんかねぇからな?」

焦ったデンジは、とりあえず彼女の機嫌を取ろうとした。

『…何を慌ててるの?デンジ君』
「え?いや、その…俺はただ、ルルさんに変なふうに思われたくなくて…」
『…変なふうになんて思ってないよ。でも…今夜はもう帰った方がいいかも』

その言葉に、デンジはショックを受ける。


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