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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第3章 初めてのキスは…【デンジ夢・後編】



『緊張?…私に?』
「そ、そりゃあするだろ!ルルさんのこと意識しちまってんのに…こんなくっついて寝るとかよぉ」
『えー…でもデンジ君…前に私のこと、ダチって言ってなかったっけ』

その言葉にハッとするデンジ。
確かに以前、会話の中で彼女のことをダチと言った覚えがあった。

ポチタの他に友達と呼べるような存在が誰ひとり居なかった自分と、初めて会った時から気さくに話をしてくれたルル。

デンジはそんな彼女のことを、無意識にダチと認識していたのかも知れない。

「あ、あれは!その…前はそうだったけどよぉ……今はあん時とは、違うんだよ…」


新人歓迎会の夜、デンジは泥酔した姫野にキスをされた。
彼女のマンションへ持ち帰られ、勢いでその先のことまでシてしまいそうにもなった。
それなのに、ギリギリのところでデンジは自分から断ったのだった。

童貞を卒業するチャンスを逃したことを後悔はしていなかった。
それは、銃の悪魔を殺したら何でもひとつ願いをきいてくれると約束したマキマに叶えてもらう為だった。

次の朝、いまは亡き姫野と彼女のマンションのベランダで向かい合わせて朝食を食べたデンジは、マキマとの仲を取り持ってもらう代わりに、姫野と早川アキをくっつける手助けをするという極秘の同盟まで結んだ。
それほど、マキマのことが好きだった。

けれど、ルルと2人きりの時間を過ごせば過ごすほど、彼女に惹かれていく自分がいるのも事実だった。


デンジは、いまの自分の正直な気持ちをルルに伝えた。

「なんかよぉ……俺…ルルさんといると落ち着くし、楽しいんだよ。…でも、同時にすげぇドキドキする」

恥ずかしさと焦りで汗ばんでくるのが分かる。

「上手く言えねぇんだけど……つまり、その…ルルさんのこと…特別に思ってるっつーか…」
『…特別?』
「ウン。…そう…特別なんだよ」

深呼吸をしたデンジは、腹を決めて言った。

「…あ…あのさ!……俺、ルルさんのこと…」


──その時、デンジの携帯電話が鳴った──


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