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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第3章 初めてのキスは…【デンジ夢・後編】



昼過ぎにデンジはルルの家を出て、早川とパワーと3人で暮らしているマンションへと帰ってきた。

酔っ払ったルルをタクシーで送って行ったまま外泊してきたデンジに、早川はこういう時は必ず連絡を入れるようにと注意はしたが、それ以上のことは言わなかった。
ルルとひと晩過ごしたことを茶化してきたのはパワーの方だった。

「おぅおぅ!ウヌ、ゆうべはあの女とイイコトをしてきたのか」
「へへ…まぁな〜」
「ほう?で、どうじゃった?」
「そりゃあ〜もう最っ高よ!」
「イヤラシイのぅ。これだから人間はキライなんじゃ。不潔じゃ!」

パワーの質問にワザと思わせぶりな言い方で答えて挑発しても、それを見抜いているかのように淡々と夕飯の下ごしらえをしている。そんな早川の態度に、デンジの下世話な好奇心が疼いた。

「…なぁ、早川センパイよぉ……ルルさんはスゲェいい身体してたぜ」
「……そうか」

反応の薄い早川を不満に思ったデンジは、更に煽った。

「…あんな女が側にいるのに手ぇ出さなかったなんてよぉ…同じ男として心配になっちまうぜ」
「それは自分のことだろ…」

昨夜デンジとルルの間に何もなかったことを確信しているかのような言葉。

「…何だよ。ずいぶんルルさんのこと理解してるみてーだなぁ」

すると、早川はため息混じりにフッと笑った。

「アイツを理解するなんて一生無理だ。俺にも…オマエにもな」
「……」

一向に挑発に乗ってこないばかりか逆にマウントを取られてしまったデンジはドスンと音を立てて床に座ると、リモコンを探してテレビをつけた。

「……フン。面白くねぇ…」

彼女のことを話す早川を見ていると何故か胸の奥がモヤモヤする。

とはいえ、この日からデンジとルルの距離はだいぶ縮まったのだった。

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