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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】



そんな想いを見抜いているかのように、ルルはアキの顔を覗き込んだ。

『大丈夫ですよ、アキ先輩。…私、これまで以上に頑張りますから』

宥めるような笑顔。
そんな彼女の優しさに寄りかかってしまいたくなったけれど、アキはギリギリのところで堪えた。

「…ひとりでちゃんと起きられもしないくせに、生意気なこと言うな」

眉間に皺を寄せ、ルルの額を小突く。アキの心の中では複雑な想いが渦巻いていた。

『えー…それは言わないでくださいよぉ〜』
「それが1番の問題なんだよ。…ホラ、行くぞ」

アキは苦笑いしながら、彼女の手を引いて再び歩きはじめた。

『……はぁ〜ぃ』


それから2人はいつものように深夜営業のスーパーに立ち寄り、数日分の食材を仕入れてからマンションへと帰った。

その夜、怪我のせいで翌日が非番になったアキは、いつもよりも多く酒をあおった。
食事は外で済ませてきたため、ルルは簡単なツマミだけ用意して、アキと入れ替わりに風呂へ入った。
ゆっくりと浸かり、掃除をしてから風呂を出て、髪を乾かしてリビングへ戻ると、アキはテーブルに突っ伏していた。
半分くらい残っていたウイスキーの瓶が空になっていて、その他にビールの空き缶もいくつか転がっている。

『……』

ルルはテレビとリビングの電気を消し、酔いつぶれてしまったアキの背中に毛布をかけてやると、空いたグラスや瓶を片付けた。
洗い物を終えてもまだ眠っているアキの所へ冷たい水を持っていく。

『……アキ先輩、お水飲んでください…』
「…んー…悪いな…」

アキは微かに瞼を開けるが、すぐにまた閉じてしまう。

『……』

ルルは水をテーブルに置いてアキの腕に触れた。

『…先輩、寝るならお部屋行きましょ?…肩貸しますから、つかまってください…』

フラきながらもルルに支えられ、アキは寝室まで移動した。


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