第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】
『痛っっ!……ふぇ…??』
額をおさえて目を開けるルル
「…お前…ふざけんなよ…」
人の気も知らない彼女に、アキは無性にイラついた。
カーテンを開いて朝日を入れ、ベッドの上で眠そうに目を擦っているルルを追い立てるように洗面台へ連れていった。
冷たい水を出して指さす。
「顔洗え。目覚ませ。はやく」
『…ふぁ〜ぃ…』
ルルは素直に顔を洗った。
『…朝からなに怒ってるんですかぁ…』
タオルでゴシゴシと拭きながらボヤくルル。ついさっき寝ぼけてキスしたことなど全然覚えていない彼女の様子に、アキはため息交じりに答えた。
「別に…」
それから2人は台所に行った。アキが豆を挽いてコーヒーを淹れている間にルルは朝食を作った。ベランダに置いた椅子に座り、コーヒーを飲みながらタバコを吸うアキを呼びに来る。
『…先輩、朝ごはんできましたよ』
「ん、さんきゅ」
寝起きの悪い彼女を強引に叩き起こしたおかげで、この日はゆっくりとした朝を過ごせた。
身支度をして外へ出る。向かった任務では2人とも怪我をすることも無く、銃の悪魔の破片も少量ながら回収することができた。
「ふう…上手くいったな」
『昨日練習した連携、早速つかえましたね』
そこへ、同じ部隊の姫野から応援要請が入った。
アキとルルはすぐに駆けつけ、戦いに加わる。
「くっ…相手がデカ過ぎるな…」
攻撃をかわしつつ、反撃の機会を探るが太刀打ちできない。
「…下がってろ」
アキはルル達を下がらせると、指で形を作り狐を呼び出した。