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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】



アキは柔らかな唇を弄ぶようにプニプニと押した。
自分のベッドにルルが居ることを意識してしまい落ち着かない。

「…何でお前はそんなグースカ眠れんだよ……俺の彼女になりたいとか何か、言ってたくせに…」

不満そうにブツブツと呟き、彼女の鼻の頭をムギュとつまんだ。

「フッ…」

思わず吹き出すアキ。

『ん…』

ルルはくすぐったそうに自分の鼻を手で擦ると、アキに抱きつくように寝返りをうった。

「ちょ……お、おい…」

深い眠りについているのか、呼びかけても起きる気配はなかった。

「はぁ〜…もう、知らねぇ…」

アキはルルの身体を抱き寄せ、腕の中に包み込んだ。

「…どうにでもなれ…」

柔らかな髪に顔を埋めシャンプーの香りを胸いっぱいに吸い込むと、彼女の額にキスをして静かに目を閉じる。

「おやすみ、ルル…」

瞼の裏で今日一日を思い返していくうちに、アキはゆっくりと眠りに落ちていった…




翌朝、アラームの音でアキが目を開けると、腕の中にはまだルルの寝顔があった。

一緒に眠ったことを思い出しながらアラームを止める。
もう少し寝かせてやりたい気持ちもあったが、極度に寝起きが悪い彼女を早めに起こしておいた方がいいだろうと思い直し、言葉をかける。

「…起きろ。朝だぞ。……おい、起きろって…」
『…………んー…』

何度かゆすっていると、ルルは猫のように喉を鳴らしながら薄く目を開いた。半分寝ぼけたような顔でアキを見つめる。

『…ん…………アキ…先輩…?』

不思議そうに呟くと、ルルはアキの頬に手を添えてそっと口付けた。

「………………っ…!…な……おい…」

ルルは、慌てて身体を離したアキに向かってフニャリと微笑むと、再びまどろみへと沈んでいこうとする。

「ちょ、ちょっと待て!起きろ、この馬鹿!」

完全に目が覚めてしまったアキは、2度寝しようとしているルルに強めのデコピンをした。

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