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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】



映画は終盤の追い上げに入り、驚かせる場面が近付いてくる。
大きな音と共に化け物が画面いっぱいに現れると、ビクッと身体を縮めるルル。
次の瞬間、画面が真っ暗になりどこからか気味の悪い音が近づいてくる。ルルは耐えきれず隣にいるアキの方へ身体を寄せた。

「ん?」

服の端を掴む彼女の手は震えている。

『……ヒェェ…』
「フッ…大丈夫だ」

そして映画のクライマックス。大きな音とたたみかけるような不気味な画面に怯えて、ルルはアキにギュッと抱きついた。

『ヒャアアアッ』
「おい…」

結局、映画が終わるまで彼女はアキにしがみついたままだった。

『…ゼェゼェ……怖かった…』

そんなルルに、アキは苦笑する。

「お前、ビビり過ぎ。デビルハンターのくせに情けねぇぞ」
『…うぅ……ソレはソレコレはコレですぅ…』
「さ、そろそろ寝よーぜ。今日は身体動かしたからぐっすり眠れそうだ」

2人は歯磨きをしておやすみを言い合い、各々の部屋へと入っていく。ベッドに横になると、アキは稽古の疲れもあってすぐに寝落ちてしまった。


どれくらい時間が経っただろう、小さくノックの音が聞こえたような気がしてアキは目を開けた。
電気をつけないままベッドを出て、目を擦りながらドアを開ける。
そこには枕を抱えたルルがちょこんと立っていた。

「…どうした」

『起こしてすみません。先輩……今日だけ、一緒に寝させてもらえませんか…?』

「…………………は?」

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