第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】
「……泣き止んだか?…そろそろ寝るぞ」
アキとルルはグラスを片付け、並んで歯を磨いた。
リビングの明かりを消し、寝室へ向かいながらアキが言う。
「明日は寝坊すんなよ」
『はい。おやすみなさい、アキ先輩』
「…おやすみ」
自室のベッドに入った後、アキはなかなか眠れずにいた。
明かりを消した部屋で天井を見つめていると、しばらくして隣の部屋のドアが静かに開く音がした。
ルルがトイレにでも起きたのかと思ったが、何分経っても戻ってくる気配がない。
アキは少し心配になってベッドから出ると様子を見に部屋を出た。
ドアにはめ込まれたすりガラス越しにリビングの様子を伺う。電気は消えていたが、謎の青白い光が見えた。
アキは廊下を歩いてリビングの方へ向かった。
そっとドアを開けると、テーブルの上にノートパソコンを開いてルルが何かをしているようだった。
イヤホンを両耳につけて画面を見ている彼女は、全くアキに気づいていない。
「こんな時間に何やってんだ…」
ため息をつきながら近づくアキ
「おい…」
ポンと軽く肩をたたくと、ルルは驚いて飛び上がった。
『きゃあああああ!』
「おい!俺だバカ、叫ぶな」
両耳のイヤホンを外して声をかけると、怯えた顔の彼女はヘナヘナとへたり込んだ。