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君の隣で眠らせて【チェンソーマン短編集】

第2章 夜明けがくる前に…【早川アキ夢・前編】



「すぐに車で病院に行くぞ。その方が救急車より早い…」

止血しながらルルを近くの病院へ連れて行くアキ。
彼女の二の腕は数針縫う怪我だったが、入院の必要は無いとのことだった。
処置を終えたルルがロビーで待っていたアキの所へ歩いてくる。

「大丈夫か?」
『はい!大した怪我でも無いのにお待たせしてすみませんでした』
「…馬鹿。大したことあるだろ。もう少し深ければ腕の筋を断裂するところだったって医者から聞いたぞ」

冷たく、静かな声でたしなめるアキ。

『……すみません…』
「…何に対して謝ってるか分かってるのか」
『先輩の指示を聞かなかった上に…不注意で怪我までしました…』

ルルは目に見えてシュンとしてしまった。その姿はまるで親に叱られた小さな子供のようだった。

早川アキは、彼女のしおらしく反省している姿に弱かった。
思わずため息がこぼれる。

「……はぁ〜…もういい。…次からは気をつけろよ」

するとルルは顔をパァっと輝かせた。

『はい!分かりました』

アキは苦笑いしつつも、彼女の明るさに安堵した。


その後、2人は公安の事務所へ戻った。
報告書を作成し、アキはマキマのところへ今日の任務の報告に行く。
ルルの怪我の診断書も一緒に渡し終えて自分のデスクへ戻ると、待っていたルルと一緒に事務所を後にした。

スーパーへ立ち寄り食材を仕入れて帰宅する。
順番に風呂へ入り、今日の食事当番であるルルが夕食を作った。



バスタオルで髪を拭きながら、アキは冷蔵庫からビールを取り出す。

「…良い匂いだな」
『あ、ちょうど出来上がりましたよ。食べましょう♪』

テーブルへ皿を運び、向かい合わせに座って食事をした。
ルルの作った夕食を味わいながら、アキはポツリと言った。

「お前、若いのに料理上手いんだな…」
『えぇ〜そうですか?…えへへ…また先輩から褒められちゃった。嬉しー♪』
「ああ、本当に美味いよ」

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