第1章 初めてのキスは…【デンジ夢・前編】
「くそっ、どこ見てもエロいとこだらけじゃねぇか…」
白く滑らかな肌、ふせられた長い睫毛、酒のせいでわずかに染まった頬。見れば見るほど目が離せなくなる。デンジは頭の中が真っ白になってしまった。
"あぁ、もう…どーすりゃいいんだ…"
理性が限界に近づいているのがわかったデンジは、彼女の名前を呼んだ。
「…なぁ、ルルさん………なぁって…」
自分でも何がしたいのか良くわからなくなっていた。
『ん…』
名前を呼ばれ、ルルがぼんやりと目を開ける。
『…デンジ、くん?』
至近距離で目が合い、ドキッとするデンジ。
「…あ、あのよぉ…俺、すげー抱きつかれてんだけど」
『……ん?…ぁ…重たかった?…ごめん』
身体を離そうとした彼女に、デンジは動揺しつつも優しく答える。
「い、いや全然重くはねぇよ?むしろ軽すぎるぐらいなんだけど…」
すると、ルルはホッとしたように微笑んだ。
『ふふ。そぉ?…じゃあ、このままでもいい?デンジ君、すごくあったかいから…』
「あ、あぁ…まぁ、構わねぇけどよぉ…」
ドギマギしているデンジにルルは聞いた。
『…シャワー、浴びたの?』
「お、おぅ。借りた」
汗びっしょりのデンジが答える。
『そっか。…眠れそ?』
デンジはドキドキしすぎてとても眠れる気がしなかったが、平気なフリをした。
「え、えっとぉ…まぁ、なんとか寝れっかなぁ」
そんな心の中を知ってか知らずか、ルルは優しく微笑んだ。
『ふふ…じゃあ、寝る?』
「そ、そうだなぁ…寝るかぁ」
デンジはそう答えたが、本当はまだ起きていたい気持ちでいっぱいだった。